第38章


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「とにかく、新参者は嫌でも目立つってことだ。口先だけじゃどうにもできねえ。ここの奴らに心底認めさせるには力を見せ付けるしかねえんだ。分かったよな、ロゼちゃんよ?」
「わ、分かっています」
 ロゼリアはがたがたと寒さに縮こまりながら頷く。マニューラは不安げに息を吐いた。
「……この程度の寒さでへばってるようじゃ奴の吐き出す冷気ですぐにダウンだ。
何が何でも慣れろ、死ぬ気で対処を編み出せ。オメーにもう後はねえ」
「そんな……」
 無茶だ、ロゼリアは弱気に声を漏らした。
「言っておくが、またアイツに負けるようなら、たぶんもう庇いきれねえぞ。オレにもニューラ達への顔向けってもんがある。オメーばかり贔屓はしてらんねーんだ。
……ま、その時にゃオレ自身も庇う気をなくしてるかもしれねーがな。見込み違いだったってよ。じゃ、オレそろそろ行くわ。上でニューラ達も待ってるだろうしな。そーだ、これをあいつらに自慢しねーと」
 そう言うとマニューラは光の石を取り出し、当て付けるように見せ付けながら部屋を出ていった。

 突き付けられた辛い言葉と状況に、ロゼリアは独り震えながら目を熱く滲ませる。
 ――強くならなくちゃなんだ。もうこれ以上誰も頼れない。
 ロゼリアは目を拭い、震えを無理矢理押し込め、体をぴんと伸ばして気張る。

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