歪みの国のアリス《長編》


[09]Black Sun《黒い太陽》H






それは、



シロウサギが

最もアリスのそばにいた
人物であったから、

可能になったのだ。










普通は
私たちが現実世界に
足を踏み入れることは



出来ない。



現実世界が

あるということでさえ
知っている者は
ごく僅かである。








「あの子は優しい子だから・・・」











そういって
シロウサギは

人に紛れて・・・




ずっと
アリスのそばに
いることを決めたのだ。






私と猫は、











ただ見てることしか




できなかった。













そして今、

そのシロウサギは、
行方不明。












アリスの中で



惨劇が起こったと

同時に。













これが何を示すか、
私たちはわかっている。







アリスの歪みを
吸い過ぎて、


彼はついに
自分まで歪んでしまったのだ。








それがわかっているのに、
猫は代わりをしようと
しているのだ。










確かに導く者は、


アリスを正しい道へと
導く事が役割。










だが、



猫は役目を終えても



アリスのそばを

離れる気は、







ないだろう。











アリスを守って消えるか、

自分が歪むまでは。












アリスはそれを望むだろうか?







脳裏に言葉がよぎる。



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