歪みの国のアリス《長編》


[12]Black Sun《黒い太陽》K





運命に抗って。




夢の光の中に
去っていく彼女を追って。




彼女が離れて
行かないように。



私が、彼女の光に・・・








猫は無言だった。


それはそうだ。




気がついたら
猫は跡形もなく
消えていたのだから。




きっとアリスの元へ
戻ったのだろう。




現実世界へ、
足を踏み入れてみようか。




そして、


暗い、孤独な
闇から抜け出して、


私は彼女の太陽になろう。



それでもきっと
まだ私は闇に包まれてる。






それで、いい・・・







日差しの強い
太陽なんて嫌いだ。






まるで猫のよう。








夜に切なげに
白く光る月も嫌いだ。







まるでシロウサギのよう。










だったら私は、


日食の時にしかみれない、


黒い太陽に。




陰から彼女を
見守れるように。



猫の出来ないことを、
私が引き受けよう。






この身が砕けちり、

アリスの中に還るまで。















私は太陽。



あなたにしか見えない
黒い太陽。



貴女の



眼差しを、



笑い声を、



笑顔を、私にください。





今は、
くれなくてもいい。



いつか、
猫よりも先に


貴女の心を
手に入れてみせるから・・・







Black Sun《黒い太陽》

END....


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