歪みの国のアリス《短編》
[07]木蓮の花C
あれこれとぶつぶつ呟いていると。
「叔父さん、叔父さ〜んっ!!」
という大きな声と共に襖が開け放たれる。
「(ビックゥッ!)な、なんだ?!どうした!?」
「きて、早く!!」
亜莉子が康平の腕を引っ張る。
一体何なんだとうろたえながらも立ち上がると亜莉子は嬉しそうに笑う。
「いいから、いいから」
亜莉子に導かれるまま肌寒い外に出ると、チェシャ猫が背を向け立っていた。
「??」
「ほら、あそこ」
そういって指を差した先には神社の境内。
「ん、神社がどうした」
亜莉子が康平の言葉に顔をしかめる。
「もっと近くまで行こう!」
亜莉子は叔父の手をがしっと掴んで走り出す。
チェシャ猫も続いて滑らかに歩く。
階段を上がり、鴨居を抜けた。
人はいなかった。
受験の季節は過ぎているから、今は需要も殆どないのだろう。
「ほら」
「はぁ・・・っはぁ・・・んっ・・・?」
普段あまり運動をしない康平なため、これくらいで息が切れてしまう。
「なン、だアレ・・・」
懐かしい香りの中、ひときわ目を引く物が康平の前に現れた。
「ねっ凄いでしょ?」
真っ白な木蓮の木々のなか、ひとつだけ違うものがあった。
いや、違うのは色だけだ。
種類はどうみても木蓮そのものである。
「桜、いろ・・・?」
別段大きいわけでもないその木はしかしながら異様な存在感を放っていた。
「叔父さんが驚いてるってことは、これは珍しいものよね?」
えへへ、と笑う亜莉子に見向きもせず、康平は桜色の木蓮に近寄った。
「・・・」
懐かしい、香りがする。
康平が後ろを振り返った。
彼の中で亜莉子の笑顔が、由里とダブる。
「姉さん・・・」
そうだ。
あの子が自分を嫌いかもしれないなんて、考える事さえおこがましい。
亜莉子はチェシャ猫と楽しそうに話している。
康平は驚きつつも、その木を知っているような気がしていた。
姉さん、あの子が俺の事を好きだろうが嫌いだろうが関係ない。
そうだよな、それが俺の義務だよな。
木に話し掛けるように、心の中で呟く。
あの子を守ろう。
叔父として。
ひとりの男として。
だから姉さん、いつまでも・・・
そこで見守っていてくれよ。
康平はゆっくり息を吐き、亜莉子を見ずに階段へ向かう。
「こんなの、乱れ桜と変わんないだろ」
「えーっ?だってさっき叔父さん・・・」
うるさいと亜莉子を黙らせ、振り向く。
「ほら・・・帰るぞ」
そんな康平が、愛おしく感じた亜莉子は、満面の笑みを浮かべながら頷いた。
こんな笑顔がみれるならお釣りがくるくらいだな。
内心にやけながら家路につく康平は、これからも何事もなく、亜莉子と過ごせる事だけをあの木蓮に願ったのだった。
END...
[前n]
[次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[
←戻る
]
小悪魔
おバカ待受
魔法の恋愛テクニック
動画天国
絵文字デコメ
就活
花の待受
血液型占い
グラビア
レンタルランキング
雑学
恋愛メーカー
メール転送
GRAFFITI
写メ診断
普通度判定
クール
四字熟語
野球拳
デコメ取り放題
診断
占い占い
PROJECTZERO
恋愛心理テスト
メールポータル
フルムービー
たまチョビ
壁紙
アイコン
wedding
おバカデコメ
紙芝居
暇
アートFlash
オンラインゲーム
ツンデレ
短縮URL
Flash時計屋
顔デコポン
J−POP
検定
顔文字待受
夢占い
癒し待受
アイドル爆破ゲーム
恋に効く待受
レシピ
空の写真
萌えボイス
理想の彼氏
顔文字
夜景
理想の娘
ヒーリング
ピンク先生
ブログ
常識検定
Flashゲーム
さくら
HIPHOP
デカデコ
アイドル伝説
お買い物
名前占い
アート待受
モテ期
占い
ペット
デコライン
巨乳動画
萌えアニメ
小説
勇気のでる待受
チャット
ランキング
オリジナルdesign待受
成分解析
待受FLASH
JapanGirl
アイドル待受
巨乳画像
姫系×セレブ系
モテカワ
絶景
アイドルFLASH
爆笑
SNS
脳の訓練
動画フル
漢字
QRコード
OL専門動画
Japangirl
海のFlash
アダルトゲーム
Copyright(C)2007-
PROJECT ZERO
co.,ltd. All Rights Reserved.