零章


[01]†


『姉上様、その後お変わりありませんか?

ワタクシ達は相変わらず修行に励んでおります。

兄上様や大婆様も姉上様の事を心配しております。

どうかお体に気をつけて、またお手紙差し上げます。

淡雪より』

「…さてと、困りましたわね

まさか淡雪から手紙が来るとは…

向こうは、ワタクシが主を決めたとお思いのようですが…

さてさて、困ったことになりましたわ」

風が舞う

手紙を読み、独り誰に言うでもなく喋る少女の影一つ。

「まぁ、ワタクシの認める主が現れるまでもう暫くこの世界を楽しみましょうか」

回りに散らばるはかつて人‘だった’ものたち

少女の手には大鎌一つ

少女の側には大鋏一つ

『血濡れの堕天使』

少女が現在唯一持つ自分を表す名。

現在少女に名はない。

それが掟だからだ

「“新たな名は主が決める”

下らない掟ですわ

主を決めること事態、今のご時世難しいことですのに…」

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