ガイア


[07]調査日誌


「エスポワールがこの惑星に不時着してから3日が過ぎた。我々は揚陸挺クサントスで採集したデータを解析した。結果、この惑星が、生物が自力で生きて行くに充分な環境であると結論付けた。
そして私は、この惑星をエリュシオンと名付けた。
だが、いくつかの疑問も浮上した。
一つは木々以外の多細胞生命体が確認されていないこと。クサントスで持ち帰った森の土を解析した結果、数種の単細胞生命体を確認した。だか、土壌に住まう昆虫や環形動物の類は確認されていないという。
森の中の湖にも、同じくバクテリア数種のみが確認されただけだという。
近く大型揚陸挺バリオスでの船外探査、及び短期間の船外キャンプ実験を行う予定である。」

「観測の結果、エリュシオンの自転周期は26.7時間、昼よりも夜のほうが3時間ほど長いようだ。もっとも、エリュシオンにも季節というものがあるなら、その限りでは無いだろう。結論を出すには更なるデータと日数を要する。
揚陸挺バリオスから見上げた夜空には、天然のプラネタリウムの如く星が輝いていた。私はあの星空を航海していたという事実に、大きな感動を覚えた。」

「揚陸挺バリオスによる船外探査の2日目。未だ多細胞生命体の存在を確認していない我々は、探査区域を広げることにした。これまでのデータから確率はそう高くは無いと思われるが、外宇宙知的生命体、或いは、我々人類の天敵となり得る生命体の存在を否定できない限り、我々はこの惑星に根をはり生きることは困難であろうからだ(グレゴリオが不謹慎にも知的生命体の存在を期待していたので叱りつけたが、内心私も期待している)。」

「バリオスは森を抜け、広大な海洋にたどり着いた。今回はバリオスで1泊、2日をかけてこの海洋を調査する。たが初日にして、魚類を含む多細胞生物は確認されなかった。これまでのデータとこの海洋で得たデータから私見から推測すると、この惑星は進化の途上にあり未だ多細胞生物の出現に至っていないか、或いは、既に進化の終着点に達し、滅びの道をたどり始めたかのいずれか。
どちらにしろ、答えを得るには更に探査区域を広げる必要がある。

追記、いい加減ドライフードにも飽きた。ミリアの手料理が食べたい。」

「エリュシオン探査6日目。我々は海洋の向こうに見えていた山まで探査区域を広げた。前日エスポワールから打ち上げた多目的探査衛星アルテミスが得たデータによると標高は3253メートル、エスポワールが不時着した周辺では一番高い山である。この山オリュンポスと名付ける。
バリオスで調査したところ、地下およそ500から1000メートルの辺りに網の目のように坑道が広がっている事が解った。枯渇した地下水脈の跡、にしてはあまりに規模が大きい。茂みの中に坑道へ続く洞穴を発見。明日、クサントスで坑内を探索する。
あるいは知的生命体の存在を確認できるかもしれない。」


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