第43章


[31]


「そっ、そんなの邪推だポチャ! 彼らはそんな軽薄じゃないポチャーーー!!!」
 ブチ切れた絶叫と同時に、エンペルトのヒレ状の翼がドンカラスの目前に迫る。
「クアアアアアアッ!!!!!」
 どうにか間一髪で避けた途端、座っていた椅子がバキィッと真っ二つに割れた。
 エンペルトは嘴の端にヒクついた笑みを浮かべていたが、その眼は全く笑っていない。
「……ねえドン、僕、最近、新しい技を習得したんだけど……試してもいいポチャ……?」
 気のせいか、ふしゅるるると息を吐くエンペルトの周囲に、水のようなオーラが渦巻いている。
「ク……クハ…ハハハ……い、いや、じょ、ジョーダン、こりゃマジで冗談でやすってば!
さ、ささ、飲んで飲んで! 続きといきましょうか、ね?」
 普段は真面目な堅物がマジギレした時ほど、手に負えないものはない……
 からかうのも程々にしないと「あん時」の二の舞だ……と慌てて宥めすかし、ドンカラスは話を続けた――

[前n] [次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.