第43章


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「そりゃいいや。うまく行けばサカキ様の目にも止まって、コソ泥なんてチンケな仕事より
もっと大きな仕事を任されるようになるかもしれねえ。へへ、今日は厄日だと思っていたが、
どうやら運が向いてきたかなこりゃ。何のつもりかしらねえが、さっさと逃げときゃいいものを
わざわざ俺達の目の前に出てくるなんて、馬鹿な奴らだ」
 全くもってその通りだ。団員の言葉にほとほと同意してあっしはため息を吐く。
「おら、いつまでものびてないで、起きろ」
「あいつらを捕まえる。逃げられないようにさっさと弱らせろ」
 団員達は倒れるラッタとゴルバットを叩き起こし、あっしらに襲い掛かるように命ずる。
 まるで財宝を前にした盗人みてえに、団員共はすっかりガキ共のことなんざ忘れて、
目の前の手頃な手柄に目を眩ませている。だが、金銀財宝ってのは大抵、屈強な警備員やら、巧妙な罠やら、
恐ろしい化け物がしっかりと守っているもんだ。迂闊に手を出せば最期――。
『おい、ガキどもは十分離れた。もう遠慮する必要なんてねえだろ』
『ああ』
 言われるまでもないといったように、電流を獣の如く唸らせマフラー野郎は手を掲げる。
瞬間、青い閃光が駆け抜け、轟音が鳴り響いた。


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