第41章


[08] 


「いいだろう、では今一度聞く。お前のジョウトへの用事とは一体何だ?」
 ロズレイドに構わず、俺はマニューラに言葉を突きつける。チッ、とマニューラは舌打った。
「なんだよ、今更。どーせテメーにゃ関係のねえことだ」
「そんなことではお前を信用などできぬ。何か俺達に隠さねばならぬ後ろ暗い理由でもなければ、答えられるはずだろう」
 はぐらかそうとするマニューラを逃がさぬよう食い下がった。再びの睨み合い。
周りの者達は気が気でない様子で俺とマニューラを見やる。暫しの緊迫の後、マニューラは気だるそうに息をつき、赤い鬣をぐしぐしと掻いた。
「……あー、もういーやメンドクセー。探しものついでに雑魚の露払いくらいなら手伝ってやろうと思っていたが、これじゃやってらんねえな。やっぱ一匹のがいーや」
 言い捨てるようにするとマニューラは踵を返し、どこぞへと去って行こうとする。
「まだ話は終わってはおらんぞ!止まれ、さもなくば裏切り者と見做す」
 威圧に電流を迸らせて鳴らし、俺は叫びつける。
「そりゃいーや。あばよ」
 しかし、マニューラは小馬鹿にするように後ろ手に手を振り、立ち止まることなく歩いていった。
「――おのれ……ッ」
 俺は行き場の無い憤りを近くの岩にぶつける。青い閃光が黄土色の表面に弾け広がり、真っ黒な焦げ跡を残した。


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