第41章


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 振り向きざま、ぶっきらぼうに怒鳴るようにしてマニューラは言う。
「はい……!決してご迷惑は、お掛けしないよう、頑張り……ます」
 ぜえぜえと肩で息をしながら、ロズレイドは応えた。途端、ほぼ気力だけで保っていた体力が、緊張の糸が途切れたとともに尽きてしまったのか、ぺたりとロズレイドは膝をついた。
 言っている傍からのこの体たらく。見ていて何だか自分の方まで情けなくなって、再びの溜め息がマニューラの口から漏れる。同時に毒気まで抜け出てしまったような気がして、マニューラは決まりが悪そうにくしゃくしゃと頭を撫で掻いた。
 ――相変わらず、こいつを見ていると調子を狂わせられる。
「台無しじゃねーかよ。色々と」
 自嘲気味にマニューラは呟いた。
「す、すみません、もう行けますので……お気になさらず先をお急ぎください」
 ふらふらと起き上がり、ロズレイドは歩き出そうとする。
「いーよ。オレも余計な体力使わされちまったし、適当な所を見つけて少し休んでくぞ」
 世の中は広いようで狭いものだ。それも同じ地方を、互いに探しものを求めながら歩いてなどいれば、その内またピカチュウ達とは出くわすことになるだろう。面倒だがこいつのことはその時にでも、丁重に熨斗を付けて送り返してやればいい。そんな風に軽く考えながら、マニューラはロズレイドに歩調を合わせてのろのろと歩を進めていった。

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