第41章


[01] 


 暗闇彷徨うこと苦心十数時間を経て、ようやくようやっと日の目を見ることが出来る。
あの光の強さを見るにきっと外は雲一つない晴天に違いない。暖かい陽光を頭に思い浮かべるだけで心は浮き立ち、重かった足取りも枷が外されたように軽やかになっていった。
よもや、普段気にとめることもない、あって当たり前だと思っていた日の光をこれ程までに欲し求めることになるとは。無くしてみて初めて分かる大切さ、というやつか。
さあ、もう出口はすぐそこだ。染みる目を手で庇って少しずつ慣らしながら、俺達はトンネルを抜け、外への一歩を踏み出した。
 途端に身の横を吹き抜ける壮快なそよ風。ゆっくりと目を覆う手を取り払い、眼前にひらけた景色――真直ぐ伸びる銀色の鉄橋、その脇に広がる森と大きな入り江――に仲間達は沸き立ち、俺も思わず感嘆の溜め息が自然と漏れた。
予想していたよりずっと肉体より精神的に厄介な道のりであったが、何とか無事にジョウトへの一歩を踏み出せたわけだ。
「いやー、長かったですね。えーと、出発前の話によれば、トンネルを抜ければ三十番道路と三十二番道路の間くらいに出るんでしたっけ」
 ロズレイドが地図を開きながらデルビルに確認する。
「ああ、そうだ。このまま真直ぐレールを渡って西に行けばコガネシティに着くし、レールを下りて北に行けばキキョウシティ、南にはヨシノシティが有るな」
 地図を前足で示しながらデルビルは答えた。
「何はともあれ長旅ご苦労様、ご一行さん。ジョウトへようこそ」
 そう言ってミミロップはくすくすと笑った。


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