第35章


[04] 



「―――と、いうわけなの。」
「なるほどなるほど・・・姐さん、そりゃあうまく出し抜かれましたな。」
 ドンカラスの一言にミミロップがあっけに取られる。
「えっ、どゆこと?」
「よくある話でさぁ、二人の仲に嫉妬した女性がそれを引き裂こうと策略を巡らす・・・
つまりそのキュウコンが言ったことはボスを独り占めする為の口実だったに違いねぇ!」
(昨日やってたドラマのまんまだお・・・)
 あまりに突拍子のない意見に皆のため息がこぼれる。
だがミミロップだけは衝撃を受けたように立ち尽くした。
「まあ、一理ありますね。理由はどうあれ、僕たちがいては何か不都合な事があったのかもしれません。」
 すかさずロゼリアがフォローを入れる。が、
「そ、そうだったのね・・・早く戻らないとっ!」
 ミミロップにはロゼリアの声などまったく耳に入っていない。
今にも部屋を飛び出していってしまいそうだ。
「しかし、どうやってあそこまで行くつもりですか?霧が深い上におおまかな道筋もわかりません。」

「そういうことならあっしにいい考えが」
待ってましたとばかりにドンカラスがいそいそと後ろの棚から分厚いファイルを取り出した。
「ボスがいつ帰ってきてもいいようにこの島周辺の情報は全部まとめてここに記録しているんでさぁ。
えっと確か・・・あった、ここから西へ行ったところにあるこうてつじまに助けになりそうな奴がいますぜ。
なんでも波動とやらを感じ取って物を認識できるとか。」
「確かにそれなら霧の中でも迷わず辿り着けそうね。その話、もっと詳しく聞かせて!」
流石のドンカラスもミミロップの勢いにタジタジである。
「こ、この情報はチャーレムからのもんなんで、これ以上のことはあいつに聞いてくだせぇ。
今はたぶん裏庭で瞑想してるはずですぜ。」
「わかったわ、ありがとうっ!」
誰かが止める間もなく、次の瞬間にはミミロップは部屋を飛び出していた。

「・・・ひとりで行ってしまいましたね。」



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