第35章


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「――ああ、クソッタレ! 持っていきやがれ糞ネコがあ! その代わりくれぐれも大怪我させんじゃねえぞ」
「ヒャハ! いいぜ、せいぜい死なねー程度にかわいがってやる」
 木の実とロゼリアを袋に詰め、マニューラは帰っていく。
そのパンパンの袋を背負った後ろ姿を腹立たしく見送った後、ドンカラスは玄関を閉めた。
 部屋へと戻ろうとした時、洋館を気ままに漂うムウマージの姿がドンカラスの目に入る。
「おめえさんはお二方みてえに何かどこかに行きたい、強くなりたい、とか無いんですかい?」
 ドンカラスの言葉にムウマージはただ首を傾げる。聞いてもわからないか、とドンカラスは決まりが悪そうに自分の頭をばさばさと掻いた。
「んー、まあいいや。何かビデオでも見ますかい? ここの娯楽はそれくらいしかねえもんで」
「スプラッターえいががいいー!」
「どうせならもっと気分が晴れ晴れとするものにしてくれやしませんかね……」



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