第34章


[03] 



 石を媒介にした交信が始まると、ゲンガーは紫色の顔を青くして叫び声を上げた。
「何でお前がこの周波数知ってんだ! もう、こりごりだ。お前の頼みなんて聞かねえし、そっちにも戻らねえ、あばよ!」
 交信を切ろうとした瞬間、石から無数の黒い影が延び、先っぽの赤く鋭い刺をゲンガーに突き付けた。
「いつの間にこんなもん仕込みやがって……! わかった、わかりました!」
 答えを聞くと影の触手は石の中へとゆっくり引っ込んでいき、ゲンガーは深く息を吐いた。
「ど、どうしたんで?」
「見てりゃ大体わかんだろ、ギラティナの野郎の新しい命令だ! ネズミが連れてた白いガキを連れてこいだとよ!」

     ※

「駄目です、衰弱していくばかりで、熱が下がりません」
 ロゼリアも手を尽くしたが、アブソルの容態は回復せず、衰弱していくばかりだった。
 アブソルにもうほとんど意識は無く、苦しそうに弱々しい呼吸をするだけだ。
「我々の力では、もはやどうしようもないのかも知れません……」
「一つ手は有るぜ」
 不意に背後から声が上がる。振り向いた先には、ゲンガーとその取り巻き達の姿があった。



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