第33章


[01] 



もどりの洞窟奥地―――

薄暗い祭壇の頂上、無数の影がせわしなく地を這いずり回る。
が、その中心に立つキュウコン―――もといギラティナは毛の一本も動かさず、重たい静寂が周囲を支配していた。

「―――来たか。」
不意に影が硬直し、キュウコンが片目を吊り上げる。
数秒後、それまでそこにあった静寂をぶち壊すように、ふてぶてしい足音が一つ―――

「ケッ、まさかまたお前に呼び出されるとは思っても見なかったぜ。しばらく見ないうちに随分小さくなっちまったじゃねーか。
先に言っとくがもうお前にこき使われる気はさらさらないぜ!」
「そーだそーだ!」
「オヤビンカッコイイ!!」
今のギラティナに以前ほどの威厳を感じないからであろうか、ゲンガーとゴースト達が今まで言えなかった文句を口々にぶちまける。
対してキュウコンは再び目を閉じ、影に意識を集中し始めた

数分後

「―――我の役目は知っているな?」
文句の嵐が収まって来たのを見計らい、キュウコンが口を開いた。
「あん?何をいまさら。」
怪訝そうな顔をするゲンガーに構わず、キュウコンが続ける
「我は主に創られてた時から、新しく生まれくる者に魂を与え、老い死にゆく者の魂をあの世に導いてきた。
すべての魂は我の下に置かれ、その気になれば生死を自在に操ることもできたのだ。」

「できた・・・ということは、今はもうできないのですかな?ヒヒヒヒ」
突如背後から声が響き、ギョッと飛びのいたゲンガーの後ろからのっそりとサマヨールが前に進み出た。
「ゲゲッ、いつからそこにいやがったんだ!」
「みなさん、ヒヒッお久しぶりです。」



[次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.