第32章


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 二人の男が、机を挟んで深刻な顔をし向かい合っている。
「それで、島の被害の程は?」
 立派な椅子に腰掛けた茶髪の男は青年と呼ばれるようになってまだ間もないといった風だが、
その目は自信に満ち、ある種の威厳のようなものがある。
「壊滅だよ。島の九割が溶岩や火山灰に覆われて、復興の目処も立たないな」
 書類の束を片手に持ち向かいに立つのはそれよりも年が上と思われる逆立った赤髪の青年。
マントを羽織った独特の服装から、ドラゴンタイプのポケモンを主に扱うトレーナー、ドラゴン使いだということがわかる。
「死傷者は?」
「偶々居合わせたレンジャーの迅速な手配で、運良く軽傷者だけで死者は出ていないそうだ」
「勲章ものだね。良かった」
 茶髪の青年はほっと胸を撫で下ろした。しかし、またすぐに難しい顔へと戻る。
「それにしても、最近は不可解な事が多すぎるよ。数日前にハナダの洞窟近辺をうろつく、
ロケット団の残党らしき怪しい三人組を見たという証言。その同時期くらいから目撃されるようになった正体不明のポケモン。
そして今回の兆候無しの異常な突然の噴火。こうも立て続けだと関連性を疑ってしまうな」
「どうも、そう見て間違いないかもしれないな」
「と言うと?」




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