第30章


[09] 



「ふん、そのうち目を覚ますだろう。」

そう言い、あのラッタが出てきたシャッターの先に視線をやる。

あのラッタは何故ここにいたのだろうか?
人間の作った建造物に住みついているポケモンもいる――ドンカラス達もそうだった――のだから、
このラッタもここに住み着いていたポケモンの一匹である可能性もあるか。



油断すべきではなかった。

いや、あそこまでやっておいて、俺の頭に油断の字は無かった。
断じて、俺は油断などしていなかった。

だが。

「あ………。」

ロゼリアの驚愕のあまり掠れた声。背中に走る激痛。
めりめり、と嫌な音を立て、俺の背中に突き立てられた何か。
ミミロップが攻撃した主を蹴り飛ばしたおかげで、激痛から解放された。

いつでも攻撃出来る様、頬袋に電気をためながら振り向いた、俺の目に飛び込んできたものは。


先程の不快な笑い声を上げ、立ち上がった白いラッタの姿だった。



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