第25章


[03] 



「――ということで、今からこの者を旅へ同行させる」
 ミミロップ達にアブソルを同行させる事を告げる。ロゼリアとムウマージは特に不満はなく歓迎する雰囲気であったが、ミミロップは少し不機嫌そうにしていた。
 ミミロップの機嫌が不意に悪くなるのは、いつものことだ。いつも理由はわからんが、気にすることもないだろう。
 アブソルと出会った経緯などは適当に理由をつけ、はぐらかしておいた。まさか本当のことを言うわけにはいかないし、言ったとしても信じはしないだろう。
 シルフビルの一件は、ミミロップ達は長い夢だったと思わされているようだ。どこまでが現実でどこからが夢だったのか、はっきりとは把握できないらしい。
 気が付けばまったく関係の無い草むらに倒れており、受けたはずの傷は消えていたのだ。夢だと思ってしまうのも無理はない。アブソルを見るまで、俺もそんな考えに陥りそうになった。

 さて、俺が今いるのは、俺達が本来いるべき現代のカントー。つまり、最初に訪れたカントーはダークライのせいで時空が狂っており、三年前の状態だったということになる。
 カントーに渡る際、船内にてダークライに接触した。あの時に――いや、もしかしたら船に乗り込んだ時、既に俺達は三年前の時空に引きずり込まれていたのかもしれない。
 まずはカントーで加えた手下達の様子を見て回った方がいいだろう。果たしてどう変わっているのか。
 もし俺の顔を覚えていなければ、軽くびりびりとショックを与え、思い出させてやるとしようか、ふふふ――。



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