第25章


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「――で、お前は我が傘下に入るという解釈でよいのだな」
「ええ、い・い・わ・よぉん」
 カイリキーが配下に加わった。
 何故、拘束していたはずのカイリキーが自由に行動していた――俺があんなものを飲まされる羽目になった――のか。それは牢の見張り役であったガラガラと、本来の調理役であったガルーラに聞かせてもらった。
 早朝、目覚めた奴は牢を豪快に破り出てきたのだという。うたた寝していたガラガラは飛び起こされ、ひどく驚かされて腰を抜かしたそうだ。情けない。
 脱走を図るかと思われたカイリキーだが、ガラガラから俺達の居場所や動向を聞き出し、トンネルの奥へと向かった。
 ここからはガルーラの話した内容だ。朝食の準備中に突然、調理場へと姿を現したカイリキーは、ここは自分に任せろと言い出した。
 ガルーラはひどく困惑したが、カイリキーに暴れる様子や何かを企んでいる風も無く、その場をカイリキーに任せ、自分は配膳に務めたのだという。実に余計なことをしてくれた。
 事の原因、当の本人であるカイリキーはと言うと、久々に自分を負かした俺を――非常に迷惑な話だが――大層気に入ったらしい。そこで自分の手料理を振る舞おうと、調理場ジャックを敢行。恐怖の手汗ジュースを配膳させるという事態を引き起こし――現在に至る。



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