第23章


[22] 



「でもおかしいな――」
 白い獣が俺の顔をまじまじと見つめる。
「君の顔、どこか懐かしいんだ。何だろね、この気持ち」
 ――! 今の言葉で確信した。間違いない、この白い獣はアルセウスだ。
 記憶を失っても俺のことをうっすらと覚えているのか――。
「……さあな。さあ、早くここから抜け出すぞ」
「どうやって? それにどうしてボクを逃がそうとしてくれるの?」
「クレセリアにお前の救出を頼まれている」
 白い獣に繋がれた鎖を腕輪を着けた方の腕で掴み力を込めると、鎖はいとも簡単に千切れて崩れ落ちた。
「君は、一体……?」
 信じられないといった感じで白い獣は俺を見ている。
「言い忘れていたな。俺の名はピカチュウ、お前の――友だ」



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