第21章


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「クカカカカ!乾杯!」
屋外の人間が滅多に来ない広場に、チェリムを囲むようにビニールシートを敷き、宴会を始めるポケモン達。

「ドンの機嫌が直って良かったポチャ……」
安堵の息を漏らすエンペルト。あのまま花見が中止になりドンカラスの機嫌が直らなければ、エンペルトはまた夜遅く迄ドンカラスの愚痴酒に突き合わされる羽目になる所であった。

「この度は我がユキノオー一族もお呼びいただき誠に――」
「止めてー!自分サーフボードじゃな――ギャフッ」
「ヒャッハー!なっみのりー!」
「ガハハハ!いいぞいいぞ!では七英雄エレキブル、一発芸としてこの岩を一撃の元に粉々に――」
「ちょ、オイラ生きてるから!止めてくれー」

好き勝手に騒ぐポケモン達。
「誰一人としてこっち見てないお……」
チェリムの傍らで寂しそうにビッパが嘆く。
実はビッパが連れてきたこのチェリム、非常に恥ずかしがり屋で人前では決して咲けないのだ。
つまり現在も咲いていない蕾の状態なのだが――誰も見ていないし気に留めていない。

……要するにここに集まるポケモン達は、楽しく騒ぎ美味しいものが飲み食いできるなら、その理由と要因等どうでもいいのである。
花より団子。

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