第16章


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「ちぃッ!」

黒いピカチュウがミミロップから飛び出してくる。
「!」
ミミロップの顔に少しずつ血の気が戻る。
…………戻ったか。

「く、馬鹿な女だ…あのまま来れば楽に死ねたというのに…。」
「ふん、貴様にかどわかされる様な柔な手下ではないということだ!」

ギリ、と黒いピカチュウは歯を鳴らす。
「……どうかな?俺はしつこい性格でねぇ。それならば次の手下で試してみるまでだ。」
「させるか!」
ピカチュウは10万ボルトを放つが、黒いピカチュウの姿が影の様に揺らぎ擦り抜ける。
「くく、無駄だ。」
再び黒いピカチュウが姿を消そうとする。だが、

ズズンッ!
「グオオオォン!」
突如、タワーの壁を破り蒼い竜が現れる。
「!?」
そしてそのままの勢いで黒いピカチュウに突進し、鋭い爪で黒いピカチュウを引き裂いた!

「ぐうう!…貴様はッ!」
黒いピカチュウの体がドロリと崩れ、揺らめく黒い影の様な姿に変わる。
「………。」蒼い竜は無言のままグワッ、と口を開き喉の奥を赤く燃え上がらせる。

「ち、アルセウスの犬め!邪魔が入ったが俺は諦めんぞ、ピカチュウ!」
黒いピカチュウだった黒い影は先程、竜が破った壁から逃げ出す。

「…間に合ったようだな。」



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