第16章


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「おいおい、あんな奴無視しとけよ。それよりも早く家に入ろう。」

――俺が見てぞっとするほどミミロップは急速に弱っていった。
「おい!戻れ!戻らないと四天王降格だぞ!」
俺は訳の分からないことを口走っていた。

――もう一人のピカチュウが叫んでいる。
「おい!戻れ!戻らないと四天王降格だぞ!」
私は二人のピカチュウの板ばさみになってしまった。
正直な気持ち、優しいピカチュウには違和感を覚えたけど私はピカチュウと幸せに暮らしたい。
…でも、どちらかが偽者であることには変わりない。

私は、先のピカチュウに一つ質問をすることにした。
「私を幸せにしてくれる?」
「当然だ。こうして家も建てたし、お前をずっと、永遠に幸せにするよ。」

向こうのピカチュウに一つ質問をすることにした。
「そっちへ行ったら、何してくれる?」

――「そっちへ行ったら、何してくれる?」
かすかにミミロップがそう言った。俺は毅然として言い放った。

「――またおんぶさせてやる。だから、戻れ――」




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