第一章〜扉〜


[01]〜扉〜


俺はある夏の日から体が動かなくなった。今は、ベッドの上で寝ている。
こんな体になったのには理由がある。
ある公園で小さな女の子がボールを使って遊んでいた。まぁ、どこでもある日常的な光景だ。しかし、日常的なのもここまでだった。まさかあそこでボールが道路に転がり、女の子が飛び出してしまうとはな。そして最も非日常的なことはこの俺が道路に飛び出して女の子を助けるとは、笑ってしまうぜ。
そして俺は、こんな体になったて訳です(笑)。
一人で自分にかかった不幸を考えていると、一人の同じ高校の女の子が入ってきた。
あれは、隣のクラスの月野涼(つきの りょう)じゃないか。
まぁ、今年はクラスを離れただけで他は小学からずっと同じクラスだからな 。
「翔ちゃん、何で死んじゃったの」
何か言い出したぞ、この女?死んだ?ピンピンしてるじゃな…い……か?
俺がもう一人いる?何か俺の方は半透明だ。
「ずっと……ずっと好きだったのに」
はぁ!?
「だから…わた……私」
だから何だよ?
「…んでグスッる…まっ…てグスッ…ね」
泣いていて何言っているかさっぱりだ。
そして彼女は、軽いはずの扉をギギィという重い音をたてながら開き出て走って行った。
半透明になったこと、涼から「好き」と言われたこと様々なことを考えているといつの間にか寝てしまった。
ある夢を見た。
真っ暗な空間に自分だけしかいなく、扉三つに囲まれる夢だ。一つ目は、真っ白な綺麗光溢れる扉。二つ目は、サビや鎖が巻かれた血で真っ赤に染まった扉。三つ目は、と、そこで起きてしまった。
何か嫌な気がするな。特に夢に出て来た二つ目の扉。
そう言えば、何か涼の奴行っていたな。
ふと涼が出ていった扉を見た。その扉は、サビや鎖が巻かれた血で真っ赤に染まった扉だった。

そう、二つ目の扉が…


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