〜過去〜ツバキ〜


[12]口約


「お茶はいりました。」

椿が麗和の前にローズティーを差し出す。

「いぃ香り…。」

麗和が瞳を閉じローズティーの香りを嗜む。

「座ってちょうだい。」

「はいっ!」

椿は椅子に腰掛ける。
「椿ちゃんは、いくつかしら?」

「12歳です。」

「そぅ。兄弟はいるのかしら?」

「3歳の弟が1人います。」

「あら?結構年が離れているのね。可愛くて仕方ないんじゃない?」
麗和が微笑む。

「はぃ!とても可愛いです。」
思わず声が大きくなる。

「弟さんが大切なのね。」
嬉しそうに麗和が笑う。
屈託のない笑顔だった。

「奥様…私聞きたいことがいくつか…。」

「いいわよ。なんでも聞いてくれて。」


「どうして奥様は、このような離れにいらっしゃるのですか?」

大きな屋敷に住んでいるのだから1人だけこのような離れた小屋に住んでいるのは、明らかに不自然だった。

「………一言で言うと罪を犯したから。」


「罪?」

「椿ちゃん…これからここで働いてもらうけどここで話した事は、誰にも言わないでほしいの…。」

「でも…」
椿が言葉を続けようとした時に麗和に手を握られた。

「私は…あなたにかけているの。アナタしか頼れない。」




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