〜第2章〜


[01]無題


男は、マンションに住んでいた。見たところ家賃も中々高そうだ。
「ここが俺ん家。そして君の家でもあるな。」
手をかざすとドアが開いた。

男の部屋は、部屋に入るとまず大きな窓が目に飛び込んで来た。白い壁紙で無駄なモノはなかった。自分で書いたんだろうか?絵がたくさんおいてあった。フローリングの上に絵の具が転がっていた。

「少し散らかってるな。スマナイ。適当にくつろいでくれ。」

男はネクタイとジャケットをベッドの上に放り投げた。
289は、ソファの上に腰掛けた。今までこんな広い家に来た事がなかったから只口を開けて見慣れない部屋を見渡していた。
「何か飲む?」

「えっと…はぃ。」

「お酒は飲める?」

「少しだけなら。」

男は、ワインを取り出した。そして冷蔵庫からチーズとクラッカーとサラミなどを彩りよく並べ289の前に出した。

「お腹空いた?何か食べる?」

「いぇ…大丈夫で…」ぐぅぅーっと鈍い音がお腹から聞こえた。

「気を使う事ないよ。」
そぅ言うと男は、キッチンに立ち鍋にお湯を入れ沸騰し始めた。

289は、顔が赤くなるのが自分でもわかった。
「今から夕飯作るから先にそれ食べてもいいからね。」
男は、先程のクラッカーなどが並んだ皿を指さした。

「おかまいなく!!」289は、緊張して垂直に座っていた。

「ハルカ…。」

「えっ?」

「オーナーが何度かそう呼んでいたから。」

「…俺の本名だよ。悠・流(ハルカ・ナガレ)」

「そうか…いい名前だ。私の名前まだ言ってなかったね。私は、零・桐澤(レイ・キリサワ)だ。」

「レイ…。」



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