〜第1章〜


[02]オーナーとの絆


「頼むよぉ…289…いい加減誰かに買われてくれよ。」

そぅ嘆くのは、この店のオーナー。

「やだね。」

「289!君が売れるとうちは、赤字が免れるんだよ!一気に予算達成!俺に明るい未来を…。」

「…確かにオーナーには、命助けてもらったし、感謝してるよ。でも買われたトコロで俺人生決まっちゃうんだぜ。」
「わかってるょ。それ言われると俺も何も言えねぇ。」

「物分かりがいぃオーナーで助かるよ。」
ニカッと歯を見せ289が笑う。

「お前は、人間だもんな。コイツらとは、違う…。」
オーナーが切ない顔でアンドロイド達を見る。

「まぁね…。」

「本当は、同じ人間なんだ…。モノのように売っちゃいけないんだ。」
オーナーは、拳を握り締める。

「はいはぃ。オーナーありがと。わかってるって。もうすぐアリスちゃん誕生日でしょ?それまでに俺買われてやるからさ。」


「悠(ハルカ)…」

「おいっ!本名で呼ぶな。俺は、289だろ?」

「あっ。すまなぃ…。」

「アリスいくつになんの?」

「次で3歳だ。」
オーナーが照れながら笑う。
元々オーナーと俺は、知り合いだった。親の借金を肩代りしなくちゃならなくなり、どこかに売り飛ばされそうになった俺を今のオーナーが買ってくれた。養子にしてくれると言ったが俺は断った。
オーナーの家も決して裕福じゃないのは知っていたから。

閉店前の雑談を楽しんでいた。

ドアが開いた。

スーツを着た1人の男が革張りの大きな鞄を持っていた。

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