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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[06]１１月13日(土方)

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あれ？

喉痛ぇ…

なんか頭もボーッとする…

身体中の節々も痛ぇ…

何だコレ？

何だ…

コレ…

・―・―・―・―・―・

ズリズリズリ…

痛っ痛っ痛っ…

目を開けたら空が見えた。

しかも空が自動的に動いている。

何だコレ。

俺は今、仰向けらしい。

足元を見ると、誰かに足を掴まれて引きずられていた。

どういう事だ!?

状況を飲み込めないまま引きずられているうちに、屯所前にたどり着いた。

｢すいまっせーん、落とし物届けに来ましたァー。｣

足を掴んでいた主が、門番に向かって乱暴に俺を投げた。

｢…ってェェェ～!!

何しやがんだテメェ!!｣

起き上がって奴に文句を言ったが、銀髪で死んだ魚みたいな目をしていた男である事を確認した途端に、目眩がして倒れた…。

・―・―・―・―・―・

目を開けたら、今度は天井が見えた。

いつもの見慣れた天井。

あぁ、さっき門扉の前で目眩がして、誰かに運ばれたのか。

｢おぉ、トシ。

目が覚めたか。｣

近藤さんが枕元に座っていた。

｢お前、ものすごい熱出して道端に倒れてたんだってな。

ある人がここまで運んで下さったよ。

そしてまた門の前で倒れたけど…。｣

万事屋か…。

｢さっきお医者さんに診てもらったら、流行りの風邪だろうって。

注射も打ったしお薬も貰ったから、それ飲んでしばらくは休め。｣

そう言って近藤さんは部屋を出た。

滅多に病気なんてしない俺が風邪なんて、珍しい事もあるもんだ。

幸い注射も効いてきたようだ。

瞼が重い。

近藤さんのありがたいお言葉通り、今日はゆっくり眠るとしよう…

・―・―・―・―・―・

『十四郎さん、大丈夫ですか？』

誰だ？

『十四郎さん、私とても心配よ。』

この声は…

『早く風邪を治して、また会いに来て下さいね。

マヨネーズ持って。』

…ミツバ…!!

｢もう行くな、ここにいろミツバ!!｣

確かに額にヒンヤリとした手の感触があった。

俺は反射的に彼女の手を握り、身体を起こした。

｢あ…｣

枕元には華蓮が座っており、俺が握っていたのはコイツの手だった…。

新婚さんの手を握ってしまった罪悪感と、手の主がミツバでは無かった事の失意が複雑に入り混じった感情のまま、俺はまた布団に戻る。

｢…悪ィ…。｣

手を離し、思わず顔を背けた。

｢いえ…。｣

華蓮は口元に優しい笑みを浮かべ、部屋を出た。

・―・―・―・―・―・

ミツバが頭の中に氾濫している。

やっぱ風邪で心まで弱ってんだろうな。

駄目だこりゃ。

天下の鬼の副長も、風邪には敵いませんでした…ってか。

フフ…お笑いだな。

｢おーいどうだ？

お粥持って来たぞ。｣

また近藤さんか。

手にはお盆、その上には湯気の立つ茶碗が乗っている。

多少熱も下がったのか少し食欲もわいてきたので、俺は起き上がって茶碗とさじを受け取った。

お粥に梅干しが浮かんでいる。

でも俺はこんなアッサリした代物ではなく、俺の命の源・マヨネーズが欲しい。

【土方スペシャルお粥バージョン】にしなければ、風邪も治らないに決まってる。

｢近藤さん、マヨネーズくれないか。｣

傍らにあぐらをかいている近藤さんに頼むと、この人がいつも一番嬉しい時に見せる最上級の笑みでこう言った。

｢おっ、元気出たみたいだな。

やっぱさっきお前が眠ってる間に華蓮さんが挿してくれた座薬が効いたんだろうな。

良かった良かった!!｣

そうか。

華蓮が座薬を…

…って、良くねェェェーー!!

俺、明日からどんな顔して華蓮と会えばいいんだよォォ…。

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