第一章


[08]柴吉達




トントン、「パパ?入ってもいい?」襖を叩いて声をかける

「あぁ、由ぅ、入っておいで」襖の向こうから穏やかな声が聞こえてきた



吉達は由斗のことを由ぅと呼ぶ。
元々、柴由斗という姓名はこの柴神社の創造神である女神の柴由斗からそのままとっている。

名前を付けたのは吉達だが、吉達は由斗のことをあまり「由斗」とは呼ばない。


由斗が「パパ」と吉達のことを呼ぶ理由が本人にははっきり分かっていないのに対して、吉達はその理由を自分でしっかり理解していた。




そのうえで、‐柴由斗‐という名を付けねばならない理由がそこにはあったのである。



それは、3人の内で吉達しか知ることのない、知り得ない理由であったが…。






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