バイバイ(更新中)


[08]嵌


ゴクッゴクッと粘度のある液体を飲み込む音が響く。
その液体が自分の精液だと思うと、それだけで興奮してくる…

変態度合が増してきてるな…
唇に薄く笑みを刻みながら、変わりつつある自分にかすかな戦慄を覚える。


「若いから濃いし多いわね。飲むのに苦労しちゃった」


いたずらを終えた幼女のような無邪気な声を出して、貴女は俺を他の男と比較する。
罪の無いようなその声が一番罪作りで、無性に憎らしく思える。


この関係に勝ち負けがあるとすれば、負けたのは俺。
貴女に憎悪を抱くのは…惚れてしまったから…

愛すればこその憎悪。


「桜子さん…、今日くらい俺だけを見てくれませんか?」


口を割って出たのは、情けない懇願。
俺の言葉に貴女は、ふふふっと声をあげて笑う。

細い指で俺の頬をなぞると、その指のあとを追うように舌でペロリと舐めあげる。


「ヤキモチ?やっぱり、かわいいわ」


貴女の指は俺の唇を捕らえ、すぐに離れる。
指が去った唇には、貴女の柔らかな唇が重ねられ、深い深い口付けを交わす。

舌を絡め、口付けの角度を変えるたびに切ない吐息がどちらからともなくこぼれ落ちる。

黒く閉ざされた視界から情報を仕入れることはできない。貴女の今の表情を見たいのに、目を開けても映るのは黒い闇。

今、貴女はどんな表情で口付けをしているんだろう…
見ることができないからこそ、知りたい…



口付けに集中していなかったことが、貴女に伝わったのだろうか。
そっと、唇が離された…


「何を考えてるの?」
「桜子さんのことですよ」
「本当?まぁ、いずれわかるけど」


口付けに集中することはできていなかったけど。貴女のことを考えていたのは事実。
その証拠に、ペニスは欲望に膨れ上がりぴくぴくと小刻みに震えているのが自分でもわかる。

貴女の目もそれを捉えたのか、小さな笑い声が耳をくすぐる。
貴女の視線が何を捕らえているのかわからない…けど、なんとなく視線を感じてその部分だけが異様な熱を放つ。


「桜子さん、何を見てるん…うわっ!」


視線の先が気になって、尋ねようとした刹那…
俺のペニスは、滑ったものに優しく捕らえられた。


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