恋×2(完結)


[06]開始宣言


自分でも驚くほどの素早さで、青木を腕の中に閉じ込める。

膝を抱えた青木の腕を引っ張って、立たせながら抱きしめる。
これまでの思いをこめて、力いっぱい…

「好きな女にやさしくして、何が悪ぃんだよ。そいつが、彼氏持ちだってわかってても、つい…気になんだよ。仕方ねぇだろーが」
耳に唇を寄せて囁いた。


こんなこと、言うつもりなんてなかったのに…
ってか、青木にはまだアイツがいるんだよな…

バ彼氏が…




「彼氏なんか…イナイよ」
青木がポツリと呟いた。

俺の背中に、細い腕が回される。

やべぇ…

俺の理性…
飛びそう。

「お前、フリーなわけ?」
「初恋がぶり返して、Hできなくなったら…振られた」



「あ?」
「だって、山本、いつもいるんだもん。忘れる暇なんて…無かった…」

「え?」

青木はもう、何も言わなかった。
ただ、背中に回した腕に力をこめただけだった。



「俺…、あの日から青木が気になって…。つまり…、その…お前が好きなんだ。
…俺と付き合って欲しいんだけど…」
一度、振った相手に言う言葉でもないような気がする。


でも、伝えたい。

今、お前に。

「ん」
お前は、満足気にうなずいた。
ただ、それだけ。


でも、それは、俺の2度目の恋の開始宣言だった。

[前n] [次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.