ジュリエットな君とロミオな私 (君と私@)(完結)


[06]裏の第2幕


「からかうって、どういう意味?」
剣呑な表情を浮かべて、姫野君の目は私の目をまっすぐに見つめる。射るような、刺すような視線。強すぎる視線はなんだか怖くて、怖すぎて、思わず一歩引いてしまった。



「だって、私…。こんなでしょ?普通、誘わないよ…。もっと、かわいい子がたくさんいるんだし・・」


「こんなってどんな?それに、普通って何?他の子を誘えば良かったの?僕が誘いたいのはまこちゃんなのに?」
剣呑な表情のまま早口に答える姫野君の視線は、私に固定されたままだった。
やっぱり、怖い…。なまじ顔が整ってるから、迫力がありすぎるよ…
なんで、こんな怖い顔するんだろう。
そんなに怒ること…?

…でも、誘いたいのは…って言葉、気になるよ。
姫野君は私を誘いたいって、本当に思ってくれてるの?
そうだったら…もしも…本当にそうだったら…

って、考えるだけ無駄だよね。だって、私だもん…



「だって、私…男みたいで…かわいくないし…。背が高くて、胸もなくて…女の子らしくない…でしょ?…男の子に誘ってもらえるわけ…ないじゃない…」
言いながら悲しくなってきた。だって、自分で自分を悪く言うのっていい気分じゃない。欠点だらけだって確認してるようなものなんだもん…
そんなこと、よくわかってるのに…わかってるのに…
言って、落ち込んじゃうんだ。自虐行為だよね。


「まこちゃん…、ごめん。ごめんね?もう、そんなこと言わないで…言わないでいいよ」
私を射るような視線が和らいだ。和らいで、優しい穏やかな視線が向けられる。
その視線は外されることなく、近づいてくる…
近づいて…?

「まこちゃん、自分じゃわかってないんだね。まこちゃんは…とっても女の子らしくてかわいらしいってこと」
姫野君はにっこり笑いながら言うと、私の頭に手を掛けて引き寄せた。
もう、鼻と鼻がくっつきそうなくらいの至近距離に姫野君の顔…

も、もしかして…
キスされる?!

直視できない…よ。
私は耐えきれずに目をぎゅっとつぶってしまった。


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