ジュリエットな君とロミオな私 (君と私@)(完結)


[05]裏の第1幕


「他の子とは約束してないんだけど…。まこちゃん、迷惑だった?こんなこと急に言われても、やっぱり困るよね」
どこか悲しげな表情を浮かべ、姫野君は目を伏せてため息をついた。

何で、こんな表情するの?
私、いじめてるみたいな気分になっちゃったんだけど…

「迷惑じゃ…ないよ。でも、驚いた…な。なんか、こんな風に言われたの初めてで…
正直、どうしていいかわからない」

本当にわからない。
男の子から、何かに誘われたのは本当に初めてだし、まして…
姫野君は私にキスしたり、手を繋いだりしてきたんだし…

本当に何?
もしかして…からかわれてる?

「えぇっ。まこちゃん、誘われるの初めてなの!?うそだ〜」

「うそじゃないって……まぁ、女子にならあるけどね」
大げさに驚いてみせる姫野君に唖然としながら、ため息混じりに答えた。
こんな男みたいな女を誘う男なんかいないし…


「じゃ、まこちゃんが男に誘われるのって、これが初めてなんだ。僕が初めてかぁ〜。嬉しいな」
本当にニコニコと満面の笑顔で、語尾にはハートマークがつきそうな感じがする。
かわいいんだけど…、なんか黒い…?真っ黒なオーラが出てる感じ…
なんだろ、怖い印象を受けてしまう。

ってか、嬉しいってなんなんなの?
やっぱり、からかわれてるのかな…
だって、これじゃいかにも…姫野君が私のことを好きみたいじゃない…
そんなことあるわけ無いのに。

あるわけ無いのに。


ほのめかされるのさえ初めてで…
どうしていいのかわからない…
普通の女の子はこんな時どうするの?

嬉しいなって喜ぶのかな?


わからないよぉ。


「姫野君…。私のことからかってる……の?」
思わずこぼした言葉は、まぎれもない私の本心だった。
せっかく誘ってくれた姫野君にはとても失礼な言葉だったけど…


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