第話


[01]4月20日


『おはようございます。今日からここでお世話になります神田愛莉です。よろしくお願いします!』
季節は春…4月20日。
あたしは派遣社員としてここの会社で働く事になったんだぁ。
派遣という事もあって会社の中身の詳しい説明はなく…ただ派遣の管理者さんに連れられて、とりあえず挨拶から始まったの。


車関係の工場だけあってさすがに若い女の子があんまりいない。
見た限りでは男!男!男!ばっかり…。
そんな話、聞いてない〜。(男ばっかりの職場なんて大丈夫かなぁ?なんか不安だなぁ…)なんて考えてると、25〜6くらいの社員の男のヒトが近づいてきた!『おっ!!新人ちゃんかい?可愛い〜ね!!いくつ!彼氏いるの?』
『22歳です〜。今日からなんでよろしくお願いします。彼氏はいませんね〜。』『おっ!!いいじゃん!だったら今日、食事でも行こ』『ええっ!いきなりですかぁ?』
私が困った顔をしているとさっきの管理者が助けてくれた。
『ちょっと!ちょっと!いきなり食事に誘うのはダメっしょ〜!歳と彼氏いるか聞くのもセクハラっすよ〜』『ははっ!相変わらず堅いなぁ〜冗談だよ!冗談!でも下の名前聞くのはいいだろ?新人ちゃんとはコミニュケーションをとらないとね☆なんて言うの?』
(ううっ…こーいうヒトは苦手だぁ…でもなんか怒らさせたらヤバいよね)


『愛莉です』
『愛莉ちゃんね☆俺は矢崎!よろしく!既婚者だけど心は独身よ!愛莉ちゃんの笑顔でたまに癒してね☆☆☆』『ど…どうぞよろしくです』
(ああ…ダメやっぱり苦手だぁ…かなり軽そう〜)
『矢崎さん!!すいませんがこの子に今から仕事を教えるんで自分の仕事に戻ってもらえないっすか?』
『あいよ!!じゃ愛莉ちゃんまた来るからね☆』
そう言って管理者に言われて立ち去って行った矢崎さん…でも管理者の彼はちょっと不機嫌な顔になってしまってる…。
実はこの彼は現在、25歳だけど23歳から派遣の管理を任されているけっこうすごい兄ちゃんなのだ。
背は高く老け顔で車が好きとかエンジンがすごいとか言ってたけどあたしにはよくわからないや。
(このヒトもタイプじゃないんだよね…彼氏探しに来てるわけじゃないけど…少しのときめきでもあればなぁ…)


管理者の彼に仕事を少しずつ教えてもらいそんな事もちょっと考えてた。
(あたしのタイプはどんなヒトだったっけなぁ…)
『あれー?何やってるの?あー新人さん今日から来たんだね!ここの現場、変な男ばっかりだからくれぐれも気をつけてね!』
(そうそう↑↑こんな感じの優しい口調で癒し系の…ってかなりこのヒトいいかも…タイプ。)
あたしは管理者との仕事をきちんとこなしながらも胸がドキドキしていた。
もちろん相手は隣にいる管理者ではなく…
さっきの優しい笑顔で去って行った彼に…☆
あたしが覚えているのは大きな目、そしてきゅんとさせるような素敵な声。
(あのヒトの名前はなんていうの??
あのヒトともっとお話してみたい!!)
あたしは一目惚れは基本的にしないハズなのになぜか彼には惹かれていた。 それが……あたしの恋の始まりだった…。
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