デアイ


[06]イシキ


「あれ〜純一何やってんの〜」
あれ、誰だ僕を呼ぶのは。この聞き慣れた声は…
「梨穂子じゃないか。何って別に…」
こいつ桜井梨穂子は幼なじみで、長い付き合いだ。ぽっちゃり気味な体型だな。うん。性格はおっとりしていて、結構ドジ踏むから危なっかしいんだよな。
「え〜でもここで立ってるってことは待ってるしかないんじゃない?あ、梅原くんかな?」
「いや、本当に大したことじゃないんだ。だから気にするなよ」
「ふーん。なら私と帰らない?久しぶりだしね〜」
「いや、一緒に帰ったら変に思われたりしたら嫌だからやめとく」
「え…そ、そうだよね。純一、私とじゃ嫌だよね。ごめんね、変なこと言って」
「いや、僕はいいんだ。けど僕と帰って梨穂子のほうがまわりに変に思われたら嫌なだけだよ。梨穂子は大切な幼なじみだからな。そんなことで話せなくなったりしたら嫌だし」
「じゅ、純一、そんな風に考えてくれてるんだ…ありがとう」
梨穂子は若干顔が赤くなってるぞ?まさか…
「梨穂子、顔が赤いぞ!熱か?」
「も〜違うよ。本当に〜じゃあね純一。」
あ、行っちゃった…梨穂子途中からなんか様子がおかしかったな。どうしたんだ?
そしてもうまわりがだんだん暗くなっていた…
「先輩?」
七咲が目の前にいた。
「おお、七咲、テストはどうだった?」
「はい、80点で合格です。もう補習は受けなくて大丈夫です。」
「よかったな。」
「でも先輩まさかテスト結果を気にしてくれたんですか?」
「うん、僕が教えたんだし、責任をもって最後まで見るのが筋でしょ?」
「はい…先輩」
ん…七咲の顔が赤いぞ。いや、そんな…
「七咲」
「はい?」
僕は七咲の肩を掴んだ。
「先輩、何を…」
おでこを合わせた。
「ん…熱は無さそうだな。」
「はい?」
「いやさっき幼なじみの奴も顔が赤くさ。まさかなんかの風邪が流行ってんのかと思って。」
「……」
七咲は黙ってしまった。僕は悪いことをしたんだろうか?
「先輩、勉強を教えていただきありがとうございます。では失礼します。」
七咲はスタスタ行ってしまった。僕はただ心配で…
僕も帰り、夜部屋で寝ていた。ん…しまった。あの漫画を見なければなんか寝れない。なんかそんな気分だ。
僕は本棚からビーバーの漫画を出した。これは1日の終わりに見るにいい漫画だよな。ははは、なんでビーバーがオーバーオール。
「にぃに、入るよー」
美也か。この神聖なビーバータイムを邪魔するな。
「何だ美也。用がないなら早く寝ろよ」
「あのさ…逢ちゃんに何かした?」
「何か…何もしてないけど?それよりビーバーおもしろいぞ」
「真面目に聞いてよにぃに。なんか逢ちゃんがにぃにのことを最近聞いてくることが多いの。あんな前はビミョーな顔だったのに。」
「それは…僕は結構モテるからな。」
適当に言っとけ…そう思った。
「もーいいよ。こうなったら逢ちゃんに聞いてみるから。バカにぃに!」
バタン!美也は出て行った。七咲が僕のことか…分からないな。勉強教えただけだしな。ま、本人にあまり詮索はしないでおこう。それより今はビーバーだな。はははは

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