ハジマリ


[03]オクジョウ


ふう…授業が終わって、休み時間に屋上で一息つくことにしました。…なんだか風が気持ちいい…
「あれ?中多さん」
この声は…橘先輩?私…どうしよう…
「中多さんも屋上で一休み?」
「あ…あの…はい…」
「はは、そっか。ここは風が気持ちいいよね」
「…はい…ただ…寒いですよね」
「そうだね。そういえば美也から聞いたけど、中多さんは最近転校してきたんだよね?」
「…はい」
私…やっぱり男の人は…背の高い人はなんだか怖い…
「ならなんかあったら言ってよ。」
「え…」
「いや、美也だけじゃ任せらんないからさ」
「いえ…いつも私が頼りきりで…」
「美也はあんな性格だから迷惑かけてたらって思ってたけど…なら良かった。」
「…はい…」
「あ…そろそろチャイム鳴るね。それじゃ」
私…男の人と少しお話が出来ました。橘先輩は他の人と少し違う気がします。
放課後になりました。今日はちょっと図書室で調べものをしてから帰ろうと思います。
あ…この本なら私の調べるものを調べられそうかなぁ…でも一番上の棚にある…どうしよう…委員さんを呼ぶのはご迷惑かもしれないし…
「大丈夫?」
え…
「あ…先輩…」
橘先輩…
「これを取りたいんでしょ?」
「あ…はい」
「よっと…はいどうぞ」
「あ…ありがとうございます」
「別にいいよ。そういえば中多さん調べものか何か?」
「はい…」
「そっか…他には何か見たいのはある?」
「あ…はい…あの本を…」
橘先輩は調べものに付き合ってくれました。先輩は優しい人です…
「あ…もうこんな時間だね。そろそろ閉館だから本戻すよ」 「あ…お願いします」
先輩は本を戻してくれました。そのまま二人で下駄箱まで歩きました。
「中多さんは学校まで歩き?」
「いえ…電車です…」
「はは、なら途中まで帰ろうか?」
「あ…あの…」
「あ…もちろん嫌なら言ってよ。」
「いえ…お願い…します」
私と先輩は一緒に帰りました。でも何を話したらいいかわからなくて…ほとんど話しませんでした…
「駅だね。じゃあまたね」
「あ…ありがとうございます。失礼します」
私が男の人と帰ると考えられないことでした。…でも橘先輩は少し違う気がします。

[前n] [次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.