デアイ


[03]ベンキョウ


「あ…」
女の子は微妙な顔をした。なんかまずいな…
「まさか美也ちゃんのお兄さんだったなんて…」
「なに、逢ちゃんお兄ちゃん知ってるの?」
「この前ちょっとあってな…」
「ええそうですね」
女の子は若干呆れて返事をした。僕はヒヤヒヤしたが別にとやかく言う必要は無さそうだ。
「もしかして逢ちゃん、お兄ちゃんがなんかした?」
馬鹿、美也なんてことを…
「美也ちゃん、別に何もないよ。」
僕は胸をなで下ろした。
「自己紹介が遅れましたね。美也ちゃんのクラスメートの七咲逢です。」
「僕は美也の兄の橘純一です。いつも美也が世話になって…」
「お兄ちゃん!そんなこと言う必要ないよ!もう…」
若干美也は照れながら言った。これは社会における礼儀だろうが…
「で、二人に何から教えたほうがいい?」
「みゃーは地理を教えてよ。こっちが駄目だったんだー」
「では橘先輩。私は数学をお願いします。」
二人に別々の科目を教えるのか…なんとかするしかないな
「ええっと、これが前のテストか。美也…これ解答欄がずれてるぞ。」
「ええ!じゃあこれ普通にやってたらどうだったの?」
「ええっと…だいたいだけど補習にならない点だな…」
「ならこの問題をまた確認すれば大丈夫だね!ありがとうお兄ちゃん!」
美也の勉強を見た…全く美也は初歩的なミスを…
そして七咲のテストを見た。え…全く出来てない。というか基礎問題すらかなり外してる…これは…
「七咲もしかして数学苦手?」
「はい…特に苦手です。」
これは時間がないから基礎を教えて基礎問題と応用は部分点でいくか…もしくは公式を詰め込み薄くともすべてをやらせるか…
よし、基礎だな。やっぱり基礎は大事だ。
「七咲、基礎から教えていくから、まずこのページを…」
「しかし先輩。それじゃ時間が…補習のテスト明後日なんです。」
「急に何でも出来るわけじゃないだろ?まずは基盤を固めて、そこから何でも積み上げていかなきゃダメだ。」
「わかりました先輩。ではよろしくお願い致します」
こうして三人で勉強した。美也は少し教える程度で大丈夫だったが、七咲はまだダメだ。
そして三人で帰った。七咲とたわいのない話や美也との昔話などをした。
「では私はここで」
七咲は言った。
「あと先輩ちょっと…」
七咲に言われて僕は七咲の方に行った。
美也はなんか微妙な顔で見てきた…
「明日も先輩教えていただけませんか?」
「あっ勉強?いいけど、なんで美也の前で言わないんだ?」
「美也ちゃん、私と先輩が前何かしたかとか気にしてましたよね?あまりそんな気を使わせたくないんです」
「そっか…分かった。じゃあ明日放課後図書室でいい?」
「ありがとうございます、先輩」
「じゃあ美也ちゃん、また明日」
そう言って七咲は行った。
「お兄ちゃん、逢ちゃんと何を話してたの?」
「それは…今日の勉強の確認だよ」
「じゃなんでコソコソ二人で話してたの?」
「それは友達にあんまり自分の出来てないとこ見せたくないんだろうよ」
「そっか…逢ちゃん気にしなくてもいいのに」
そして家に帰った。明日も七咲に勉強を教えるのか…なんか楽しみだ

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