スキ


[02]タイム


あれ、七咲が噴水で下を向いてるぞ。声をかけるか…
「七咲、どうした?」
「あ、橘先輩、あの…実は…」
「何か言いにくいこと?」
「いえ、先輩にはお話ししておきたいんです。」
そして七咲はうつむきながら話した。
「今月の日曜日に大会があるんですが、タイムが大会規定に少し届かなくて、選考から落ちてしまったんです。」
「え、でも七咲あんなに頑張って…」
「いえ、多分まだまだなんですよ。だって先輩に前にターンを指摘されましたよね?」
「あの時のか?」
「はい。多分まだ私の泳ぎは未熟だったんですよ」
「そっか…」
「でも、その分目標が出来ました!次は一月に大会があるので、次に向けてフォームを見つめ直すつもりです。」
「良かった」
「え?」
「七咲が下を向いていて心配だったからさ…」
「先輩、ありがとう…ございます…」
七咲は次に向けて前向きだな…
「でも無理はしないほうがいいぞ。」
「はい、今はとりあえず少し休んで、それから考えます。それで、次は…先輩にその…いい報告が出来るようにしますから…」
「はは、楽しみにしてるよ」
「はい、では先輩、そろそろ授業ですし戻りましょうか?」
「そうだな…」
そして教室に戻った。七咲なら多分大丈夫だとなんとなく思った。
僕は七咲のことを…授業中考えていた。この気持ちは…伝えなきゃな。
昼休みになり、七咲を探した。あ、校庭にいる。
「七咲」
「橘先輩、どうしました?」
「いや、実は僕の気持ちを七咲に伝えたい…」
「…はい」
「でも言葉に出来ないんだ…」
「はい…」
「ここじゃみんないるから場所を変えていいか?」
「はい…いい…ですよ」
僕たちは学校のはずれにあるポンプ小屋に行った。ここは誰もいない。そして…
「七咲」
「…ん」
僕と七咲はキスをした。七咲の唇が震えてる…ん
「先輩…」
「七咲…」
その後黙りながら小屋を出た。気持ちは伝わったならいいけど…

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