第二章


[01]片思い


私は渋々着替え始めた。
先生はまた頭を伏せて寝はじめた。
先生の髪……
茶色くて綺麗だなぁ。
そう思って先生をジッと見つめる。

私は胸が痛くなってきた。「私……本気で先生が好きだ………。」
小さい声で呟く。
先生はまだ寝ている。

私は先生に近寄る。
先生の手がピクッと動いた。
「綺麗な手……。」

私は先生の手を好きになったんだ…。
顔もかっこよかったけど。先生の手は、ゴツゴツで指が長くて細くてでも大きくて……。
何より血管が好き。
すごく浮き上がる。
守ってくれそう…。

「俺の手…。好きか…???」
いつの間にか先生が起きてた。
私はびっくりして跳びはねる。
「はい……。手だけじゃない。全部…。」
下を向いて小さな声で答える。
先生は複雑そうな顔をしてから息を吸った。
「峰岸…。俺は、………教師なんだ……。」
先生の言いたいことは解った。
でも解らないふりをした。解りたくない。
「峰岸…。」
「わ、わかりました!私…、校庭行きます!」
明るく言った。

教室を出てから涙がこぼれてきた。
「先生の馬鹿……。」

校庭に行くと、私の嫌いな先生がいた。
私は目も合わさずに通り過ぎた。
「おい。」
そう言われても無視した。「何か言うことがあるだろう」

私は舌打ちをして謝った。「遅れてみなさんに迷惑をかけてごめんなさい。」
先生には背を向けてみんなに謝った。
そのあと先生を睨んでみんなの列に混ざった。
「お前は好きな先生の言うことしか聞けないんだな」

「二宮先生は、教師だ。お前なんかを相手にすると思うか?」
鼻で笑う先生…。
私は先生を睨んだ。
「私は…、二宮先生のことを…好きじゃぁありません。まぁあんたよりかは二宮先生のほうが好きだけど。」
先生は舌打ちをして私を睨みつけ、そのあとに笑った。
「言っておくがな、二宮先生はあんたみたいな不真面目な生徒が大嫌いなんだよ。二宮先生本人の言葉だ。」

私は悔しくて涙が出た。

私の片思い………………。
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