アコガレ


[01]スイエイ


ふぅ、体育が終わり、一息ついていた。
「橘、ちょっと聞きたいんだが…」
体育の先生が来た。
「橘一回水泳を休んだことあったな?」
「あ、確か夏休みに入る直前にありました。」
「それで、休んだ分補習に出ないと点が入らないんだ。すまんな、昨日確認してたらわかってな。」
「いえ、大丈夫です。いつ出たらいいんですか?」
「男子の補習はもうないから、明日の女子の補習の時に一緒に私が見るので大丈夫か?」
「それで大丈夫です。」
「じゃあそれでいくから、明日頼むな」
「はい」
補習か…面倒くさいが女子と一緒ならちょっと特だな。ふふふ。あれ補習か…
「梨穂子いるか〜」
僕は梨穂子のクラスを覗いてみた
「なに〜純一」
「梨穂子、まだ水泳の補習うけてる?」
「うん、あと…何回だっけ?でも明日は出るよ」
「僕も出ることになったんだ」
「え?男子はもう補習全員終わったって聞いたけど」
「いや、忘れられていてな。補習って何やってる?」
「ただ少し泳ぐくらいだよ〜」
「そっか…じゃあ明日は一緒に行くか?」
「うん、いいよ」
「じゃあまたな」
僕は補習は大したことはしないとわかり安心した。ん、でも水泳部はどうするんだろう?まぁ、明日になればわかるか…
昼休みになり、僕は食堂に向かった。駄目だ。何か…食べたいものは…そうだラーメンにしよう!
昼の食堂は凄まじい。食堂のおばちゃんに買いたいものを言うにも、みんな列を作るとか、そういう考えはないからか、もはや戦場のようだ。あれ、あの子確か美也のクラスメートの…プリントの子だよな
「あの…すみません」
食堂の人だかりに入れないみたいだ。しかもそれに押されてはじかれてる。
「すみません…きゃっ」
まずい、倒れた。怪我しちゃうよ。僕は駆け寄り、抱えた。何かお姫様を持ってるみたいだ。
「あ…すみません!」
「大丈夫?」
「はい…」
「良かったら僕も買うから、一緒に買ってくるよ?」
「え…でも」
「いいから、言ってみて」
「はい、サラダサンドに牛乳を…」
「わかった。じゃあちょっと待ってて」
僕は人だかりに一気に突入した。ふ、もらった!
「おばちゃん、サラダサンドに牛乳、あとラーメンね」
僕は見事に注文した。
「はい、これ」
「あ、あのありがとうございます。」
「いや、いいんだよ。次からは頑張ってね」
「はい、あの」

「あの…この前はありがとうごさいました…」
「あ、あれか、気にしないでよ。」
「はい…美也ちゃんのお兄さんなんですよね?」
「え…あっそうだよ。」
そうだ、この件美也に話したな…
「その…私がなんかされてないか…って、心配して下さったって、美也ちゃんが…」
「いや、あんな重いのを女の子に持たせるなんて、どうかしてる!と思ってね。でもみんな知らなかったみたいだね。」
「はい…私もよく知らなくて…」
「ははは、でも良かったよ。何もなくて。」
「はい…先輩、優しいんですね…」
なんだ…すごい目をうるうるさせて見てくる…恥ずかしいな…
「あ、そういえばちゃんと自己紹介してなかったね。美也の兄の橘純一です。いつも美也が世話になって…」
「いえ、私の方が…頼りっきりで…私は中多紗江…です。」
「中多さんか、よろしくね」
僕は中多がまた顔が赤くなってると思った。やっぱりなんかあるのかな。
「紗江ちゃん、何してんの?」
この声は…美也とあれ、七咲じゃないか…
「あれ、お兄ちゃんもいる…紗江ちゃんと…」
「いや、この前のことを話していただけだよ。」
「あ、あのお兄ちゃんがすごい怒ってた話だよね」
中多さんは恥ずかしそうに黙っている。おい、みんないるのに…美也…なんか七咲まで微妙な顔だぞ。
「ゴメン紗江ちゃん。お兄ちゃんがなんかした?」
「美也ちゃん…そんなことないよ」
なんてことを…僕は人助けをだな…
「お兄ちゃんなんかしたら言ってね。みゃーがお兄ちゃんを懲らしめるから。」
「そんなことしないぞ。美也はいい加減なこと言うなよ。第一美也にそんなことされる筋合いはないぞ」
「も〜馬鹿にぃに!行こー紗江ちゃん、逢ちゃん」
にぃにって呼ぶな…しかもラーメン伸びてるし、最悪だ。全く美也め…

[次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.