デアイ


[01]コウハイ


僕は橘純一。輝日東高校に通う高校2年。すっかり季節は冬だ。クリスマスまであとひと月とすこし。クリスマスか…クリスマスは僕にとっていい記憶じゃない。それは…
2年前のクリスマス。僕は何とか好きな娘と約束した。やった!クリスマスデートだ!と浮かれた。親友や幼なじみにアドバイスをもらい、僕は待ち合わせの公園に走った。まわりはクリスマスを祝うカップル…僕もその中のひとりになれる!と思った。
しかし彼女は来なかった。訳は結局分からず僕はそれ以来恋愛とは疎遠な毎日となった。
「よう!大将!なにボーっとしてんだ?」
梅原が話しかけてきた。こいつは昔からの悪友で、クリスマスの出来事も知ってる。
「いや、なんか寒くなったな」
「そうだな、とりあえず教室に戻ろうぜ?そっちの方が寒くないだろ」
僕と梅原は教室に戻った。そして授業が終わり、放課後になった。
「橘、今日はゲーセンでもよって帰るか?」
「ごめん梅原、今日は先生にプリントを運ぶ手伝いをしなきゃならないんだ。また今度な」
僕は梅原と話をし、先生の手伝いにむかった。 結構な力仕事だが、台車があるから助かったな。
「ありがとう橘くん。」
「いえこれくらいお安いご用ですよ。じゃ失礼します」
じゃあ帰るか…ただどうせなら夕方の学校を眺めながら帰ろう…この冬の夕暮れに照らされた感じの学校が僕は好きだったりする。
図書室、テラスや噴水を見て、一通り見たから帰るか…
「にゃーん」
「何?黒猫だ。野良かな。」
「にゃーん」
猫は何処かへ行こうとしていた。僕は追いかけた。すると校舎裏にたどり着く。
「にゃーん」
声がするな…僕は声がする方を見る。ちょうどあの階段のあたりからか。
僕は階段の下から猫を探した。見つからないな…
「そこで何をやってるんですか?」
上から声がする…ん、黒い下着?階段に女の子が立っている。これは誤解される!まずい!
「こんなとこで覗きですか…」
「違うよ。僕は猫を探してたんだ。」
「猫?でもいないですし、言い訳になりませんよね?」
「頼むから信じてよ!第一もし覗きならこんな簡単に見つかるとこに隠れたりしないだろ?」
「あ…はぁ、分かりました。じゃあそうゆうことにしときます。」
なんか生意気な感じの娘だな…
「では私は失礼します。」
そして女の子はいってしまった。僕はただ猫を…でもあんな娘はウチの学年にはいないし、小さいから後輩かな…まぁいいや今日は帰ろう…

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