ツヅキヲシヨウヨ


[01]再会


「やっと…はぁ…看板が…はぁ…見えた…」
東京の短大に通うみちるは祖母が倒れたと聞いて東京から伯母の営む旅館「緑鳳館」を訪れるべく、駅から延々続いた山道を上ってきた。
よく見ると看板には「この先6キロ」と記されていた。
「はぁ!?なにそれ?もー無理ぃー!」
崩れるように地べたへ座りこんだ。
しばらく休んでいると、バイクの音が聞こえてきた。
バイクはみちるを見つけると停まった。
バイクの男がフルフェイスのヘルメットを外すと、田舎には似つかわしくない垢抜けた青年が現れた。
(…イケメン君…道でも聞きたいのかな…)
みちるは、青年を眺めた。
「おいっ!みちる!」
突如名前を呼ばれ、はっとした。
「…敬ちゃん!?」
「お前、なんで駅で待ってないの?まぁいいや、とにかく暑いから乗れ。」
従兄弟の敬輔に促され、バイクの後ろに乗る。
「あの…どこに、つかまってれば…」
みちるが迷っていると、敬輔がみちるの手を引っ張り、自分の腰に回した。
「しっかりつかまってろよ!」
硬い筋肉が服の上からでもわかる。
敬輔の体と密着したので、体温が直に伝わる。
バイクの振動がみちるの体を興奮させた。

敬輔とみちるは三歳違いの従兄弟。
小さい頃は敬輔を兄のように慕っていた。
敬輔と最後に会ったのは、祖父の法事で、みちるが中学生、敬輔が高校生の時だった。

旅館につくと、女将である伯母、料理長の伯父に挨拶をし、祖母の病院には明日、敬輔にバイクで送ってもらう事になった。


伯父も伯母も忙しかったので、夕食は敬輔と二人で食べた。


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