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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[41]５月３日(沖田)

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近藤さんが、今月分からしばらく減給になるらしい。

さっきそれを松平のとっつぁんから電話で言い渡された近藤さんは、ショックのあまり部屋で膝を抱えてシクシク泣いている。

｢近藤さん、一体何やらかしたんですかィ？｣

隣に座って顔を覗き込むと、涙と鼻水グチャグチャで嗚咽を漏らしながら話しはじめた。

｢エグッ…あ…あのね…

昨日…エック…俺ね、

華蓮さんのか…ウェック…刀…

うっかり踏んづけて…ヒック…

折っちゃったんだよ～ウェッグ…｣

途切れ途切れで聞き取りづらいが、どうやら華蓮さんの愛刀【百華】をオシャカにしちまったみたいだな。

やれやれ。

｢でね、華蓮さんが怒って…エグッ…

【百華】をくれた松平のとっつぁんとこに電話掛けたの。

そしたら…ウェグ…

あの刀って特注品だから、もう二度と同じ物は…ウェッ…手に入らないんだって…。

だからその責任を取って、また同じ額の…ヒック…刀を華蓮さんにプレゼントしろって…ウェグ…。｣

なるほど、新しい刀のローン分を給料から天引かれるっつー事かィ。

しかしよくも生きていられたもんだな、近藤さん。

大事な【百華】をへし折られて、いつもの華蓮さんなら相手を半殺しにしかねないだろうに…。

あれ、そういえば近藤さんの愛刀【虎徹っちゃん】も見当たらないけど？

｢華蓮さん、怒って俺の【虎徹っちゃん】を…エグッ…へし折ったんだよ。

膝でバキッ！て…ウグッ。

だったらおあいこじゃんよォ～。なのに何で俺だけ…ヒック。｣

いやいや、確かに【虎徹Ｚ―Ⅱ】も高価だよ。

だけどあんたの大量生産されてる刀と違って、特注品の【百華】は世界に一つしかないんだから、価値が天と地ほどありまさァ。

・―・―・―・―・―・

華蓮さんは華蓮さんで、朝からずっと部屋から出て来ない。

放っといてもいいんだけど、生存確認だけはしとかねェとな…。

俺は女子隊長室の襖を開いた。

｢華蓮さ～ん、入りやすよォ。｣

華蓮さんは机で虚ろな目をして、なにやら書きなぐっていた。

・ミュージックプレーヤー・コロコロ
・ナビ
・芳香剤
・ブランドロゴ
・ピストル
・万歩計
・防犯ブザー
・日傘

……

その他ノートいっぱいに書いてあるけど…何だコレ？

｢…見てェ、総悟くぅ～ん。

今度の新しい刀に、こんだけ装備してもらおうと思ってんのォ～。

贅沢なんか言ってないわよねェ？

私、贅沢なんか全～然言ってないわよね？ね？

あの銘刀【百華】をダメにしたんだから、代わりはこれくらい搭載しないとォ～。

フフフフフ…｣

ヤバイ。目がマジでイッちゃってるわ。

近藤さんの【虎徹っちゃん】でもミュージックプレーヤーとコロコロとナビしか付いてないってのに、さらにそれを上回る装備って…

つか、もはやソレ刀じゃねェだろ。

サラッととんでもねー事言いやがる女だな。

｢ハムラビ法典バンザ～イ!!

アハハハハハ…｣

ハイハイ、『目には目を、歯には歯を』…ってね。

ここ日本ですけど。

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