第二恋愛*


[02]マンガ


9月18日 委員会


今日は、後期初めての
委員会活動だった。


三太の隣りに
座ったあたしは、
とても居心地が
悪かった。


1クラス一枚
新聞を作ることに
なった。


放課後の教室で
2人きりの新聞作り…



マンガでは、
恋が芽生えちゃったり
するんだろうけど
まぁ……ないだろう。


ただひたすら
新聞を書いていたら、
いつの間にか
会話がなくなっていた。



何か話さなくちゃ……



「字…きれいだよね。」

三太は字がきれいで、
習字なんかでは
学年でも1、2を争う
腕前だ。



「……………
沢ちゃんに褒められると嬉しいかも…」


変な空気が流れた


隙間があいている
窓からは
もうすぐ秋を
むかえようとしている
夏の終わり頃の香りが
流れ込み、
空は
きれいな橙色の夕日で
美しく染まっている。


「三太、そこの
ペンとってくんない??」

「あ…うん。はい。」

「ありがと…」


その時、教卓の上の
プリントが
風で2人の間に
舞い散る。


2人の手がプリントの
上で重なる。





うそっ………



こ…これ、
マンガみたい………



三太は
頬を赤く染め、
下を向いてしまった。


「これ…
マンガみたいだね。」

三太はビックリして
顔を上げる。

「うん。」

2人は手を重ねたまま
微笑み合う。

「あっ…ごめん。」

三太が我にかえり
手を引っ込める。

「あたしこそ。」





それから2人は
また黙ったまま
新聞作りにはげんだ。


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