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《完結》負けない!!負け犬【１】～２０代後半・真選組女子隊長の日記～

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[65]１０月１９日

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｢僕は新婚初夜を邪魔するほど野暮じゃありませんからね。｣

昨夕、そう言って新八君は万事屋を出た。

｢アタイは明るい家族計画を邪魔するほどガキじゃないアルよ。｣

｢アンッッ！｣

そう言って神楽ちゃんと定春は新八君のうちにお泊まりに行った。

部屋には私と銀時、二人だけが残された。

事実上、婚姻を結んだ私達だが、いざ二人きりになると何故だか互いを意識してしまい照れ臭い。

その空気を払拭するかのように、銀時はゆっくりと私を求めて来た。

互いに立ったままで交わした長いキスは、数年間の二人の時間を隙間無く埋めた。

布団に移動してからの彼は、昔のガツガツしたむさぼるようなそれとは違い、ゆっくりと一つ一つ確かめながら進めていく、大人の愛し方になっていた。

やっとひとつになれた…

その喜びを噛みしめながら、彼の胸で眠った。

あの子守唄を聞きながら…

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余韻に浸る間もなく、早速今朝から出勤せねばならない。

今日からは【真選組女子隊長坂田華蓮】として働く事となる。

しばらくは姓名変更の書類やら関係機関への挨拶回り、寮の引き払い等で忙しくなるだろう。

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万事屋から屯所までは歩いて通勤出来る距離だ。

今朝は自分が【坂田】になれた事が嬉しくて、朝の澄んだ空気を感じながら新しい姓を何度も呟きながら歩いた。

屯所の門をくぐると、大きな花束を持った隊士達が駆け寄って来た。

｢女子隊長、ご結婚おめでとうございます!!｣

突然の事で驚いたが、にこやかな表情でみんなが心から祝福してくれていると分かり、感激した。

｢ところで隊長、結婚式や披露宴はいつですか？｣

あまり私達夫婦の事情を知らない女子隊士が、無邪気に尋ねた。

｢あ…うん…そうね…｣

私は答えに窮した。

食べていくのにいっぱいいっぱいの生活の銀時に、結婚式だの披露宴だのという金銭的余裕は正直無い。

かといって私の貯金で…と申し出れば、プライドだけは高い彼は怒り出すだろう。

もちろん私だって女だ。
人並みにドレスや白無垢を着てみたいに決まってる。

しかし…

｢その事なんだがな。｣

隊士達の間を割って入った局長が、何やら話し出した。

｢かぶき町歓楽街の皆さんが『日頃お世話になっている華蓮さんに是非お礼がしたい』という事で、簡単ではあるが結婚式をプレゼントさせてくれないだろうか…という申し出があったよ。

華蓮さんがいつも真剣に街を守ってくれているから、その御恩返しだそうだ。

どうだい？｣

願ってもないありがたい申し出だ!!

きっと銀時も喜んでくれるはず。

｢是非その御厚意お受けしますとお伝え下さい!!｣

私は早速お返事した。

｢よし了解した!!

いやぁ～良かった良かった…

みんな華蓮さんの花嫁姿を楽しみにしていたからな。

元ミス大江戸小町の晴れ姿、さぞかし綺麗なんだろうなぁ～。

そうだ、オレとお妙さんの結婚式は和装と洋装、どちらにしようかなぁ…｣

大丈夫。

そんな日は来ないから。

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