新月まだ酔い醒めぬ頃


[08]新月まだ、欠けてはいない


『・・・・ぇ』



うん?





『ね・・・ねぇ・・・』


う、うん?





『ねぇってばぁ!』




急な声に目を開ける。




『あっ、起きた。!!』






『君は・・・・・。』




『わ・た・し!だよ。』





彼女が隣にいた。
てことは
未だ死んでいないのか。・・・・






『ナースコール・・・・・。』








『うん。・・・・
私が・・・・押したよ。・・・・』








『そうか・・・・・
なんで・・・・
押したの・・・・』









『・・・・・生きて欲しい。』







『えっ?』






『君には生きて欲しい。』






『僕は助からないんだ。』






『分かってる!、分かってるよ・・・・・・
けど、まだ生きれる。
生きて・・・・
最後まで。』





というと、
彼女はいきなり倒れた。

急いでナースコールを押すが。
まだ複雑な気持ちでいっぱいだった。


医者達が急いで彼女をタンカに乗せて。
何処かへ連れて行く。







数時間がまた経った。





彼女は戻って来た。

大きく複雑な機械に口を覆われ、
腕には点滴が刺され、

そして、
ずっと目を閉じていた。






医者達が彼女の前に集まる。



僕は、
その時、
何を喋ったかなんて
記憶に無かった。

しかし、ちゃんと喋ったんだ。・・・・





『先生、
この方はもう目を覚まさないのでしょうか?』







『君は誰だい?
あっ!!もしかして、
この子の親類の人かな?』







『・・・・・・すみません。
ただの友達です。・・・・』







『なんだ・・・・友達か、・・・・・
しかし困ったね。
これじゃあ、
外せないなぁ。・・・・・
仕方ない、心臓が止まるのを待つか。
あっ、
この子は多分もう意識は戻さないよ。
そのまま、死んじゃうね。』





医者の言葉かよ。

そんな医者の言葉に
言い返せなくて。

僕はただベットの上で膝を組んだ。






もう、死んじゃうのかよ。



やっぱり死ぬって言うのは、


怖い。


例えそれが自分じゃ無くても。






何か大切なものが
壊れる様な

また、無くなるような・・・・・・






淋しくて、淋しくて、



潤んだ瞳は



綺麗な半月を濁す。







続く。次回再終話。






by しょういた つき。


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