第2章 苦しい
[02]電話
明の様子を知ったのは今日の午後3時くらい。
波と望に誘われてあたしは望の家に足を運ぶ。
ガールズトークで盛り上がりながっていた。
「そうだ!!綾〜和が不登校だった理由知ってる?」
波が突然あたしに聞いてきた。その答えはもちろん…
「知らないよ?」
波はニヤニヤして望とあたしに言った。
「病気だったらしいよ」
三人しかいないのに小さな声で言わなくてもいいのに。
「へぇ…」
今まで和が不登校だった理由はたくさん噂されていた。
『イジメ』
だとか、
『面倒だから』
だとか。
『病気』
という理由は初めてだ。
「ん。じゃあ聞いてみる?」
望はどうやって?と聞くものの後からすぐ理解したようだった。
波はあたし達とは違うクラスで話は追い付けない。
「あたし、和とアド交換したんだ」
波は満面の笑みを浮かべてそうなんだと関心したように言った。
【今聞きたいことあるんだけどいいかな?】
また再びガールズトークを始めた。
返信がきたのは5分後くらい。
【今忙しい】
和にメールをすればいつもこの返事。
【ちょっとだけ!!】
粘り強くあたしは打つ。
【家の前にいるんだけど…】
【誰の】
【お前】
【いないよ?】
そんなやりとりをしていていきなり電話がかかる。相手はもちろん和。
「もしもし?」
「お前今どこ?」
「ん〜?望の家♪」
溜め息をしたのが通話口からも聞こえた。
「今明クン告白されてるよ」
信じられない言葉にあたしは息を飲む。
なんとか反応をしないといけないと思い、あたしは作り笑いを浮かべた。
「誰に?」
ホントは泣きそうなくらい辛い。
望と波が忍び足でどこかに行くのをあたしが必死で止める。
「誰でしょうか」
んなもん知るか!!
そう突っ込みたくなる気持ちを抑えて。
「えぇマジ誰〜?」
ホントは知ってるよ?予想…つくんだよ?
でも…聞くのが怖くてあたしは辞めた。
「んじゃな」
まだ聞きたいことあったのに一方的に電話は切れた。
「なんて?」
波が聞く。
「明告白されてるってさぁ」
呆れる声を出してあたしは和に電話する。
5コール目。やっと出た和の声は完璧キレていた。
「んだよ!!」
それはあたしが言いたいです。
「誰によ」
「知るか」
普通しってますよね?知らないといけない人ですよね?
「んだよ…」
あたしは和にキレた。
「もぉいいよ!!んじゃね、バイバイ!!」
今度はあたしから電話を切りイラつきの溜め息をつく。
「ウザイ…」
望と波はケラケラと笑ってあたしは今にも切れそうな充電を見つめていた。
この電話をあたしは
『不幸の電話』
と勝手に名付けている。
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