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負けない!!負け犬【３】～私とＪｒ.と銀時と～《連載中》

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[24]１月８日(新八)

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万事屋に、今年初の仕事が舞い込んだ。

３歳から６歳までの子供、４人の子守りだ。

「ヨォ！いらっしゃいネ。

今日は一日、かわいいお姉ちゃんや加齢臭のお兄ちゃん、それに地味ん党メガネと遊ぶアルよ～。」

子供達がうちに上がるなり、神楽ちゃんがすこぶる感じ悪い挨拶をした。

「バカ！
ガキ相手に何ろくでもない挨拶してんだよ！！

ウチ帰って『臭いお兄ちゃんと遊んだ～』なんて言ってみろ、万事屋のクリーンなイメージは損なわれ、二度とこの手に戻る事は無いんだぞ！」

「そうですよ。そんなんじゃなくて、子供の心を惹きつけるような、もっとマシな紹介の仕方が何かあるでしょうが！」

神楽ちゃんはプッとほっぺたを膨らませ、子供達の傍らにしゃがみ込み、耳元で何か囁いた。

「知ってるアルか？

あいつらは只今売り出しナウオンセール中のお笑いコンビアルよ。

今日は一日あいつらのコントや漫才、歌にダンスで笑いのオンパレード間違い無しネ！」

その言葉に子供達の瞳はキラキラと輝き出し、眩しい程の視線は僕と銀さんの方へと向けられた。

「ハァ！？ちょっ、待っ…

神楽テメェ、ハードル上げんじゃねぇよ！！

ほら見ろ、ガキらが目ぇキラキラさせてんじゃねぇか。

だいたい誰がお笑いコンビだよ。

俺の実力なんてたかが知れてんだよ。

お前やガキらの期待にお応え出来る程のお笑いスキルなんか、俺は持ち合わせてねぇっつーの！！」

パンッ！

語気を荒げ、銀さんは丸めた新聞紙で神楽ちゃんの頭を一発叩いた。

万事屋では日常的に行われる、そう珍しくもない光景だ。

しかし子供達にはちと厳しいシーンだったのか、ウルウルと涙を湛えて怯えさせてしまった様だ。

これはいけない！
何とかせねば。

「あっ、ホラホラみんな。

何かして遊ぼうよ！何がいいかな？」

子供達のご機嫌を取ろうと僕が話しかけると、女の子が言った。

「アタシ、お人形遊びがいい！」

差し出された手には、カリちゃん人形が握られていた。

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「カ～リ～ちゃん、遊びましょ！」

女の子はカリちゃんにセーラー服を着せ、銀さんの手にしているもう一体のカリちゃんに話し掛けた。

「いいわよ～。何して遊びたい？

アンパン？援交？？それともオヤジ狩り？？？」

銀さんは甲高い声を作り、カリちゃんを左右にブラブラ振って答えた。

「ななな何言っちゃってんですか、アンタ！！

子供の遊びですよ、コレ！

純真無垢の象徴みたいなカリちゃんにいかがわしい遊びばっか勧めて、どうしようってんですか！？」

烈火の如く怒り狂う僕を前に、銀さんは悪びれた様子も無くサラリと言った。

「いいか新八、よーく聞け。

女の子はな、こういう疑似遊びを通してだな、正しい女としての生き方を学ぶもんなんだよ。

幼いうちからそういう教育をちゃんとしてないから、最近の女子高生はやれ援交だ、ＡＶ出演だ、クスリやったりだと乱れた生活をするようになっちまったんだよ。

だからな、俺が今からカリちゃんを通じて援交の恐ろしさを実演して…」

そう言いながら銀さんは、カリちゃんのセーラー服に手を掛けた。

「…ってコラー！！

結局アンタの趣味に走っただけじゃないですか！！

教育どころかトラウマになっちゃいますよ！！」

ダメだダメだ！

カリちゃん遊びは中止！！

・―・―・―・―・―・

「じゃあアンタ達はお父さんとお母さんと弟。

アタシはお姉ちゃん役をやるネ！」

やはり子守りには、一番子供達と年齢の近い神楽ちゃんが適任だろう。

神楽ちゃんと子供達は部屋にレジャーシートを敷き、お茶碗や箸を並べておままごとを始めた。

「あら神楽お姉ちゃんお帰りなさい。

ご飯出来てるわよ。早く食べちゃいなさい。」

「いらないアル。さっき課長と外で食べて来たネ。」

「あらそう。それじゃあお風呂に入ったら？」

「お風呂もさっき課長と済ませて来たネ。

いつも『妻とは別れる』って言ってくれるけど、結局はまた愛の巣へ戻るの。

それでもアタシ負けない！彼を信じて待つんだから！！」

…って、オイィィィ！？

なに不倫ＯＬの日常をリアルに描いてんだよォォォ！！

「神楽ちゃん！

教育上よろしくないシチュエーションは極力控えて！！

相手はまだ子供だよ。」

僕が最もな事を注意すると、神楽ちゃんは斜に構えてこう言った。

「ケッ、お前だってまだオトナの経験してないんだろ。

アレが未使用のうちはオトナ面すんじゃねーよ、駄メガネが！！」

ななななな…

クッソー！中止中止！

おままごとも断固中止！！

・―・―・―・―・―・

「よーし、じゃあ次は新八お兄さんとヒーローごっこをして遊ぼう！

ホ～ラ、怪獣パチゴンだぞォ～！ガオー！！」

僕は出来る限りの怖い顔をし、がに股で歩み寄り、子供達に襲いかかった。

しかし子供達は逃げる様子もなく、しれっとした目で僕を眺めて言った。

「いや、そういう子供騙しな遊びはちょっと…」

…え？
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