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負けない!!負け犬【３】～私とＪｒ.と銀時と～《連載中》

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[22]12月25日(桂)

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勤皇の志士とは、常に平常心を保ち、己を律し、侍としての芯を貫くものだ。

それなのに、あろう事かうちの若手である幸之助は、我が攘夷党の神聖なるアジトに嫁を連れて来やがった。

「だって今日、クリスマスっスよ？

新婚なんだから、ホントはうちで二人きりでクリスマス祝いたかったのに、ちゃんとこうして会議にも参加してんスから、嫁さんくらい連れて来てもいいじゃないスか。

ね、ちよちよ！」

「ね、こーたん！」

何という事だ…

天皇を心からお慕いし、我が国を天人から護る為だけにただひたすら歩んで来たはずの我が同志だろう。

それなのに「クリスマス」だ？

それも「祝う」だあァァ！？

天人の持ち込んだ祭りに興じるなど、恥を知れ、恥を！！

「え～、なんかあの髪長い人、怒ってるっぽ～い。

やだ～、怖い～、こーたん！」

「大丈夫だよ、ちよちよ。

俺が護ってやるから！」

怒らせたのは紛れもなく貴様らだろうがッッッ！！

「ほんとォ？

キャ～こーたんマジかっこいいんですけどォ～！」

「そういうちよちよは超激カワなんですけどォ～！！。」

俺はそんなこーたんとちよちよに激ムカなんですけどォォォ～！！！

「つーか桂さん、会議しないんスか？

俺らこの後レストラン予約してあるんスよね。」

「イタリアンなんだよね、こーたん！」

「そんでその後はちよちよとセ…」

「きゃ～ん、こーたんのエッチィ～！」

何だ？言ってみろ。

天人料理食った後に「セ」だと？

武士なら当然「切腹」だな！？

「あっ、ヤベ。予約の時間スわ。

そんじゃ俺ら行くんで。」

「早くぅ、こーたん！」

おぉ、いけいけ。

貴様らのような腐った攘夷意識しか持たんような輩など、どこへなりと逝ってしまえ！！！

彼らは腕を絡ませ、夜のネオンに消えて行った。

仕方無い。残ったメンバーで正月テロの作戦会議を…

「すんません、桂さん。

うちも嫁さんが『今日は早く帰れ』って…」

「うちもガキらが待ってるんで…」

その言葉を合図に、ぞろぞろとメンバーが皆アジトを去った。

そこに残ったのは俺とエリザベスと[んまい棒]の食べカスだけだった。

「エリザベス、天人の行う[クリスマス]ってのは…

こんなにも孤独感に満ち溢れた、切なく淋しい祭りなのか？」

するとエリザベスは、表情を変える事無くプラカードを掲げた。

『俺がいる』
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