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負けない!!負け犬【３】～私とＪｒ.と銀時と～《連載中》

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[36]５月１０日(神楽)

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「定春、お前コレどうしたアルか！？」

定春の背中に跨ったら、頭のてっぺんに五百円玉くらいのハゲ見つけたネ。

「銀ちゃんにむしられたアルか？」

定春は首を横に振った。

「じゃあ新八の酷い歌でも聞いたか？」

また首を横に振った。

「新八の姉ちゃんの卵焼き、無理矢理食わされたか？」

やっぱり違う。

「あ、卵焼きの方じゃなくて、土方のマヨネーズ丼か？」

うーん、コレも違うか。

「ゴリラのケツ洗い見たとか？」

「マダオのハローワーク通いに付き合わされたとか？」

「一階のババァにこき使われたとか？」

「エリザベスに意地悪な事言われたとか？」

「私のパピーにお裾分けしたとか？」

「沖田にムチはたかれたとか？」

「キャサリンの生着替え見たとか？」

どれを聞いてもうなだれて首を振るばかり。

しかしこうしてみると、私の周り、ロクな大人がいないアルな…。

「定春ゥ、何のストレスでこうなったアルか？」

「クウゥ…」

ハゲを撫でてやると、私の胸に頭を擦り付けてきた。

「可哀相に…

良い毛生え薬を調達してしてやるからな。

薬屋さん行こう。

モトマツキヨシ行こう。」

すると定春は潤んだ瞳で「ワン！」と返事した。

毛生え薬って、犬にも効くアルか？

もし買って来てよく効いたら、どっかの星で活躍してるかもしれないパピーにも送ってあげるネ。

「よし、じゃあお散歩がてら金太郎も一緒に行くか！」

ベビーベッドの柵につかまり立ちしていた金太郎の脇を抱え、床に降ろすと、

「しゃぁーるぅー！」

と嬉しそうにハイハイをして定春に近付いた。

その時だった。

金太郎は座った定春の毛をしっかと掴み、背中によじ登ろうとしたのだ。

「ダメ、金太郎！そんな事したら定春の毛が…」

とっさに金太郎を止めようとした私の手を、定春は鼻で振りほどいた。

「でも定春…」

「ウゥ～」

定春は私を軽く睨み付け、諫めた。

「金太郎の成長を阻むな」とでも言いたげに。

案の定、定春の毛はハラハラと床に落ちた。

そして背中には、満足顔の金太郎がしがみ付いている。

「定春、お前それでいいアルか？」

定春は嬉しそうに、金太郎に頬ずりをした。

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